散歩

                                            

 コンコン

「碇君、寝てる?」

「起きてるよ、綾波・・・どうしたの?」

 レイは窓の方をむいている。

「月が・・・きれいだから」
 
月の光の中で立つレイは月の妖精か女神のように見えた、
シンジは、そんなレイをジッと見つめたまま

「本当にきれいだ、綾波。」

そういったあと自分の言ったことに気付いてまっかになって俯いた。

「え・・・い、碇君。」
(碇君がキレイって、恥ずかしけど嬉しい。)

二人とも赤くなって固まってしまった。

     〜5分後〜

「そ、そうだ散歩にいかない。」

「うん!」

「でもその格好じゃ少し寒いかな、これ 着なよ。」

「あ、ありがとう。(・・碇君のにおいがする・・)」

レイはほほを桜色に染めて少し俯いた。

「じゃあ 行こうか。」

「うん」


「う、う〜ん なんか明るいわね やだ、カーテン開けっ放しじゃない。」
「おっかしいわね〜閉めたと思ったんだけどな〜。」

「あれは、シンジ?・・それにレイも!!」
「どこに行くの・・・」


       〜公園にて〜



「ここなら良く見えるね。」

「うん」


「 きれいね。 」

「うん・・・きれいだ。」

(碇君、私を見てくれてるの?)
(どんな顔してるの?)
「碇君。」
私は碇君の顔の方に向き直った。

そのため二人の目があい、見つめあうかたちになっていた。

((自分でも顔が赤くなるのが分かる、はずかしい・・・。))

また固まる二人。



「 シンジのバカ・・・。 」

遠くから見ているアスカからは二人が見つめ合っているように見えた。
その表情はとても不安そうだった。

 
慌てて空を見上げるシンジ
そんなシンジを見て一瞬寂しそうな顔をするレイ
(碇君と一緒にいたい、一つになりたい、でも・・アスカ・・)
(ごめん、今だけ今この時だけ許して、アスカ。)

シンジの肩に身体を寄せるレイ。シンジの肩がビクっと震えた。

(碇君を感じる、あったかい、ずっとこうしていたい、ずっと。)


「あ、綾波。」
顔をまっかにしてレイの方を見るシンジ、レイも顔を赤くしていたが
なにもないかのように月の方を見ている

「あ、あのさ綾波、僕に用があったんじゃないの。」

「いいの、もう用はすんだから。」

「 え? 」

「碇君と一緒に月を見たいと思っただけだから。」

「そうなんだ。でもどうして月を。?」

「碇君が私には月が似合うって言ってくれたから。」
「だから、碇君と一緒に月が見たかったの。」

「ありがとう綾波、やっぱり綾波には月が似合うよ。」
「・・・月、きれいだね。」

「うん、ほんとにきれい。」

「アスカにも見せてやりたかったな。」

レイの肩がビクっとした、そしてみるみるうちに表情が曇ってゆく。

「 綾・波 」

(僕はなんてバカなんだ、綾波がどんな気持ちで僕にところへ来たのか
 全然わかってない。)
「ご、ごめん綾波の気持ちも考えないで。」


「いいの碇君、悪いのは私だから、アスカをわざとおいてきたのは事実だから。」
「ごめんなさい、碇君こんな卑怯なことして私のこと嫌いになったでしょ?」

「そんなことないよ!!それに散歩に行こうと言ったのは僕だしね。」
「いつもアスカのわがままばっかり聞いてるんだから、綾波と二人になったっ
 てちっとも悪くなんてないよ。」

「でも・・・やっぱり抜け駆けはよくない
   今度からはアスカも誘ってきましょ。」

「ありがとう、綾波、綾波はやっぱり優しいね。」


「(レイあんた・・・ふん今日にところはシンジを貸しといてあげるわ!)」

二人に向かってびしっと指をさして手は腰につけたいつものポーズで
 しかしブルーの瞳はほんの少し赤く染まって


   〜つぎの日の夕方〜

「そうだシンジ〜 散歩に行かない。」

「え、散歩・・いいよ。」

「レイ、あなたはどうする?」

「・・・・・私はいい・・・」

「ホントにいいの?」

「うん、二人で行ってきて。」

「綾波・・・」

「私だけじゃズルイもの、でも今度だけよ。」

そう言ったときのレイの顔は最高のほほえみを浮かべていた。
そしてアスカも・・・・・・・

                   終

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