私立第三新東京中学校

第二百五十話・軋み、音を立てる心


「・・・・すまん、綾波・・・・」

アスカから追いやられるように去っていったケンスケは、みんなの元に戻ると、
まず最初に綾波に謝った。
綾波はしばし顔を伏せていたが、ケンスケに声をかけられるとそっと顔を上げ
た。しかし、自分自身では何も言わずに、まるでその瞳で訴えかけてでもいる
かのような、そんなどこか迫力を具えた視線だった。
ケンスケはそれにさらされると、訳もわからずわずかにたじろいだが、言わな
ければならないことに気付くとやや身を正してこう言った。

「済まない、綾波。俺のせいで・・・・」
「・・・何を謝っているの、あなたは?」
「い、いや・・・・綾波が悲しんでいるのは、そんなうつむいているのは、あ
の二人のせいだろう?だから俺も・・・・」
「私は悲しんでなんかいないわ。」
「じゃ、じゃあ、どうして・・・?」
「私は考えていただけ。そして、聞いていただけ。」
「聞いて・・・?」
「そう、聞いていたの。私は疎んではいても、やはり聞かずにはいられない・・・・」

ケンスケは綾波が何を言っているのかよくわからなかったものの、そんな事を
言い出せば綾波のよくわからないところなどきりがなかったので、敢えて問い
ただすこともなく、そのまま会話を続けた。

「・・・何を考えていたんだい?」
「・・・・・いろいろ。」
「色々・・・ね。俺が力になれることがあるなら、何でも言ってよ。遠慮しな
くていいから・・・」
「ごめんなさい、これは私の問題だから・・・・」
「そうか・・・そうだな。」

綾波はケンスケの申し出をすげなく断る。
ケンスケは綾波と打ち解けたつもりでいても、綾波としてはそうではないのか
もしれない。ともかくケンスケは何も言わなかったものの、その瞳は悲しみを
帯びていたのだった・・・・

考え込む綾波。
それを少しだけ離れて見つめるケンスケ。
既に皆、歩みを止めていた。
まるで見守る様にして綾波を見つめ続けるケンスケに、とうとう耐え兼ねたか
のようにトウジが声をかけた。

「・・・ケンスケ、もうその辺にしときや。」
「何を?」
「綾波や、綾波。お前、ノイローゼになるで。」
「もう・・・なってるよ、きっと。」

ケンスケは穏やかに忠告するトウジからそっと目を逸らすと、喉から絞り出す
ような小さな声でそうつぶやいた。トウジはそれを聞くと、一層不安に思って
より真剣にケンスケに訴えかける。

「おい・・・・なら尚更や。友達甲斐に言わしてもらうけどなぁ、綾波はあか
んで。」
「どうして?」
「シンジの奴しかみえとらん。惣流にさえも、なんだかんだ言いながらもやっ
ぱりシンジや。」
「わかってるよ、そのくらい。」
「望みのない想いが無意味だってことくらい、ケンスケ、お前にならわかるや
ろ。」
「・・・・いや、俺にはわからないよ。人を想うことが、どうして無意味なん
だ?俺は見返りを求める想いの方が、よっぽど醜いと思うよ。」
「わいは何も見返りとかそないなことを言っとるんやない。ただ、精神的に救
いがないっちゅうだけや。」

視線を避けようとするケンスケに対して、トウジはその前面に回り込んで、ケ
ンスケの目を見てそう言った。するとケンスケは、逃れられなくなったのか、
小さな声でそっと漏らした。

「・・・・わかってるさ、俺だってわかってる。でも・・・・どうしようもな
いんだよ。頭ではわかってるのに・・・・」
「ケンスケ・・・・」
「済まない、トウジ。しばらく独りにしておいてくれないか?今の俺は、折角
のトウジの言葉も、聞き入れられそうな気分じゃないんだ・・・・」
「さよか・・・・よし、わかった。しばらく考えてみい。考えて、それでもあ
かんかったら、わいらに相談せい。わいらはいつも、お前の味方やからな・・・・」
「・・・・ありがとう、トウジ・・・・・」
「いや・・・・気にすんなって。親友っちゅうもんは、そう言うもんやろ?他
の奴はどうあれ、わいはそないに思うとるからな。」

トウジはケンスケに向かってそう言うと、そのままケンスケを置いて洞木さん
の元に戻った。

「鈴原・・・・」
「ケンスケも辛いな。」
「うん・・・・」
「せやけど言っても無駄やろ。あいつは完全に、綾波にいかれとる。なまじ恋
とかそないなもんに縁がないから、なかなか割り切れんやろうしな・・・・」
「そうね。あたしも、相田君の気持ち、少しだけわかるな。」
「いいんちょーが?」

トウジは意外な台詞を聞いたとでも言いたいかのように、驚いて洞木さんの方
を見た。すると洞木さんは、トウジに向かってそっと告げる。

「うん・・・あたしもずっと鈴原に自分の気持ち、言えなくって、それで・・・」
「・・・・すまんかったな。わいは鈍感やから・・・・」
「いいの。鈴原が悪いんじゃないから。でも、そういう意味では、綾波さんも
悪くないと思うの。綾波さんには、懸けられた想いに応える義務なんてないん
だから・・・・」
「せやけどなぁ・・・・少しくらい気付いてやってもええやろ?あれじゃあケ
ンスケも哀れすぎるで。」
「綾波さんは気付いてるわよ。」
「え!?」
「綾波さん、みんなが思ってるほど、何も感じない女の子じゃない。以前のイ
メージが強すぎるから、鈴原もそう思うのかもしれないけど・・・・」
「どういうことや?」
「碇君が綾波さんを変えたの。何だか嫌な言い方かもしれないけど、碇君だけ
がそれを成し遂げることが出来た。みんなが半ば綾波さんから遠ざかるように
していたのに・・・・そう、このあたしでさえも・・・・」
「いいんちょー・・・・」

トウジは思わぬ洞木さんの告白に息を呑む。
まさかあの洞木さんに限って、と言う驚きが強いのかもしれない。
誰にでも分け隔てない、というのは、トウジだけが持っている洞木さんのイメ
ージではなく、それは一般的なものであった。そしてそれはイメージが先行し
ているものではなく、常に事実の方が上回っていたのだ。
僕達が見ている洞木さんは、本当に誰にでもやさしかった。
僕達は仲間内で派閥を作っているようなところがあり、実際あまり他の人間に
は立ち入れさせなかった。それは多分、僕とアスカ、綾波の三人がいたからだ
と思う。僕達三人以外の、洞木さんやトウジ、ケンスケなどは、そんなに近寄
り難い人間でもなく、ばらばらになればそれなりに他のクラスメイト達とも言
葉を交わしていた。しかし、僕達の場合は・・・なんと言っていいのか、お互
いに壁を築いていたようなところがある。誰も近寄らずにいつも遠巻きにして
眺められていたし、僕達も実際あまり立ち入られたくなかった。
それはきっと、まだ僕が完全に人を恐れることから脱却できていないせいだと
思う。いや、まだと言うか全然だ。人見知りどころの騒ぎではなく、それは恐
れであった。何に恐れているのかよくわからない。しかし・・・・多分、人を
傷つけ、人に傷つけられることだと思う。そして綾波は違うにしても・・・・
アスカは僕と同じだ。誰よりも明るく振る舞ってはいても、本当は傷付きやす
い心は、僕よりも恐怖を感じている。たとえ僕や綾波とは違って、他のクラス
メイトと話をしていても、どこかしら壁を作って、そして違う自分を演じて・・・

「クラス委員としてのあたしと、洞木ヒカリとしてのあたし、それってやっぱ
りイコールじゃない。以前のあたしは、委員長としてしか、綾波さんに接して
なかった。それはうわべだけの付き合い。心のこもらない、あたしの立場を考
えただけの・・・・」
「せやけど、それでも綾波に接しようとしたんは、シンジを除けばいいんちょ
ーだけやろ?」
「それが問題なの。あたしに心がないなら、他のみんなみたいにしていればよ
かった。でも、あたしは嘘をついてた。綾波さんに、そしてみんなに・・・・」
「・・・・」
「ごめんなさい。あたしは鈴原にも嘘をついてるかもしれない。鈴原が好きな
のは、委員長としてのあたしであって、洞木ヒカリとしてのあたしじゃないか
もしれないのに・・・・」

洞木さんはそう言うと、うつむいてトウジから顔を隠した。
そしてそんな洞木さんの言葉を聞いたトウジは、真剣な眼差しで洞木さんに訊
ねる。

「ほな聞くけど、いいんちょーはどっちのいいんちょーでわいの弁当作ってく
れたんや?」
「・・・それは・・・・」
「ほんまのクラス委員なら、一人の男に私的に弁当なんか作ったりせんよなぁ。」
「・・・・」
「わいが惚れたんは、弁当を作ってくれるいいんちょーなんや。食い意地が張
っとると思われるかも知れへんけど、そないないいんちょーの女らしさに惚れ
たんや。わかるか?」
「鈴原・・・・」
「いいんちょーは少なくともわいの前では、ひとりの洞木ヒカリとして、振る
舞ってくれてたと思うで。それで・・・それだけで十分やないか・・・・」
「・・・・」
「綾波の件もいいんちょーやからこそのことや。いいんちょーがそないゆうて
も委員長としてだけでなく、洞木ヒカリとしての心も、入ってたと思うで。せ
やなかったら、綾波がいいんちょーを受け入れる訳ないやないか。なぁ?」
「・・・・」
「頼むから自分をせめんでくれや。わいもどうしたらええんかわからんように
なる・・・・」

色々洞木さんに言ったトウジも、あまり口に物を言わせる方ではないため、も
う言えることもなくなって、困ったように洞木さんに言った。すると洞木さん
は、十分すぎるほどトウジの気持ちを感じて、小さく謝った。

「ごめんなさい・・・・ありがとう、鈴原・・・・」
「わいの役目はいいんちょーを守ることや。遠慮なんかせんでええで・・・」
「うん・・・・」
「ケンスケみたいに親友としてだけでなく・・・・な・・・・」
「うん・・・」

後はもう、言葉は要らなかった。
無論、キスも抱擁も要らない。
この二人には、何もなくても心と心を通じ合える、そんな何かがあるような雰
囲気であった・・・


そして綾波。
しばし考え込むようにしていたものの、自分自身の中で何がしかの結論を出し
たのか、誰に言う訳でもなくひとことつぶやいた。

「・・・・人を思いやることと、人を甘やかすこととは違うわ。だから・・・・」

そうなると、もう後は振り返らなかった。
ただ、行動あるのみで、ケンスケの存在も忘れて早足で歩き出した。


「・・・ねぇ、シンジ?」

アスカが僕に声をかける。
そして僕はいつもと同じようにアスカに応える。

「なに、アスカ?」
「今日の晩御飯、何にするか決めた?」
「いや、まだだよ。何かリクエストでもあるの?」
「うん。」
「ハンバーグ?」
「ううん?はんばーぐはこの前作ってもらったから・・・」
「じゃあ、何かな?」
「お赤飯。」

僕は思いも寄らぬアスカの要望に、思わずひっくり返りそうになってしまった。

「ア、アスカぁ・・・・」
「だって、日本では何かお祝いの時には、お赤飯を炊くんでしょ?」
「ま、まあ、そうなんだけど・・・・」
「じゃあ、それ!!いいでしょ?」
「いや、でもね・・・」
「なに、まだうだうだ言う気?殴るわよ。」

アスカは煮え切らない様に見える僕に対して、いかにもアスカらしく握った拳
を見せてそう脅かした。僕はアスカの誤解が嫌になるほどわかっていたので、
慌てて弁解に走る。

「い、いや、うだうだとかそう言う意味でなくって・・・・赤飯を炊くにはも
ち米を水に浸けておかなくっちゃならないし、ささげで色付けも・・・・」
「つまり、したくないんじゃなくって、すぐには出来ないって言うだけなのね?」
「ま、まあ、言ってみればそうだね。明日の朝なら食べさせてあげられるけど・・・」

アスカは僕の言葉を理解すると、態度を一変させてにこっと笑うと、あっけら
かんとした口調で僕に言った。

「なら、明日の朝でもいいわ。お願いね、シンジ。」
「う、うん・・・・」

僕はアスカに何のお祝いなのかすら、聞くのも怖かった。
ひとこと口にすれば、間髪入れずげんこつが飛んできそうで・・・でも、そん
なアスカの方がずっと安心してみていられたので、僕は自分の頭に出来るであ
ろうこぶの一つや二つ、全く気にはしなかった。まあ、試してみる勇気もなか
ったのだが・・・・

「何よ、あんまり乗り気じゃないみたいねぇ。」
「いや、そんなことはないよ。僕、赤飯好きだし・・・」
「そうなの?」
「うん。おいしいよね、赤飯は。」
「そう、だからお祝い事の時に食べるのね?」
「い、いや、それは違うと思うんだけど・・・・」
「そう?まあ、お祝いなら何でもいいんだけどね・・・・」
「それより、今晩はどうする?」
「え?もちろんするわよ。だからこそのお赤飯なんじゃない。」

僕の問い掛けに思いっきり誤解して答えたアスカに、大きすぎるくらいの声で
訂正した。

「ち、ちっがーう!!僕が言いたかったのは、今晩のおかず!!変な意味じゃ
ないの!!」
「なーんだ。つまんないの。」
「と、とにかくどうする?」
「だからするの。決定済み。」
「うう・・・アスカはそこまで僕をからかうのか・・・・」

とことん僕をいじめるアスカに僕はとうとう匙を投げた。するとアスカはにん
まりと笑みをこぼしながら言う。

「ふふふ、だって、シンジってからかい甲斐があるんだもん。だからかわいく
ってついつい・・・ね、わかるでしょ?」
「わかんないよ。僕はからかう側じゃなくって、からかわれる側なんだから。」
「そう?でも、シンジも時々アタシをからかおうとするじゃない。」
「からかおうとするだけだろ?大抵アスカに手痛いしっぺ返しを食らってるじ
ゃないか。」

アスカにいつもいい様にしてやられる自分を思って、僕は少し情けなくなる。
アスカが喜べばそれでいいと言う自分も確かにあるけど、それでも少し度が過
ぎると思わなくもない。
僕がそう思うと、突然真後ろから声が掛かる。

「だから、碇君には私がついていないと駄目なの。アスカに意地悪に対抗する
には、碇君ひとりじゃ・・・・」

振り返らなくても、その声で誰だかすぐにわかった。
振り返って僕が思った通りの人物がそこに。
もちろん綾波だった。

「レイ!!出たわね、この幽霊女!!」
「どういうこと?言いがかりはやめて。」
「気配もさせずにぬーっと出てくるから幽霊女なのよ!!名字を綾波から改名
して幽にでもしたらどう?」
「いつもながら失礼ね。私は碇レイになるの。これは決定してるんだから。」

綾波がそう言うと、アスカは自信満々に言い返した。

「ふふーん、残念ね、レイ。それは少しだけ無理かもよ?ね、シンジ?」

アスカはそう言って僕に熱っぽい流し目をくれる。
綾波はそんなアスカを見て、わずかに眉をぴくりとさせたものの、誰に言うで
もなくぼそっとつぶやいた。

「・・・・やっぱり私の選択は間違っていたわ。アスカ、付け上がるだけだも
の。」
「ん?何か言った?まあ、アタシは何を言われてもいいわよ。答える自信はあ
るんだから。」
「・・・・碇君は、私が守るもの。」
「またそれ?もういいわよ。言わなくってもわかってるんだから。」

アスカはうんざりしたように綾波に言う。
今のアスカの態度は少しだけ鼻につく気がしたが、これも仕方ないことなのか
もしれない。自慢でもしなければ安心できないアスカだから。そして綾波の前
では特に・・・・
だが、綾波はアスカとはケンカ慣れしているので、僕のようなことを思うこと
もなく、毒舌にも気にせずに小さくこう言った。

「・・・・碇君は私が守るわ。そう、その貞操も・・・・」
「なっ・・・・」
「結婚もしないうちに、そんなことはこの私がさせない。」
「な、何でアンタが知ってんのよ!?さ、さてはあの相田の奴・・・」

アスカは綾波が知っていると言うことに気付き、自分と僕の話を聞いていたケ
ンスケが綾波に告げ口したのだと思った。綾波はケンスケに疑惑が及んだこと
に気付くと、すぐさまアスカの言葉を否定する。

「相田君じゃないわ。」
「じゃあ、誰なのよ?聞いていたのは、あいつしかないのよ。」
「・・・・」
「言いなさいよ。アンタは下僕の相田をかばってるんでしょう?」
「・・・・違うわ。」
「じゃあ、何!?アタシとシンジの他に話を聞いていたのは、あの相田しかい
ないのよ!!」
「私が・・・・私が自分の耳で聞いたの。だから・・・・」
「嘘おっしゃい!!この距離で聞こえるはずないじゃない!!」
「アスカの声、大きいから・・・」
「大きいにも限度があるわよ!!アタシをごまかそうと思っても無駄よ!!」
「・・・・・・・・私には、力があるから・・・・・」

言わせてしまった。
綾波は十分すぎるほど傷付いているのに・・・・
どうしてこんなにお互いを傷つけ合わねばならないんだろう?
僕はみんなを傷つけたくないと思っているのに、その想いは空回りしている。
そして反対にアスカを傷つけ、今度は綾波を傷つけている。
綾波の力の問題は、僕の責任でないと言えばそうかもしれない。
しかし、綾波に言わせてしまったのは僕だ。
かたちはアスカが言わせてしまったけど、僕が言わせたも同じことだ。
綾波の申し出に、意に添わぬとわかっていても、アスカを想って僕に言ってく
れたことに、まるでしっぺ返しをするような・・・・
綾波が怒っても当然だ。
でも、人は二人を一緒に想うことは出来ないんだろうか?
三角関係と言われてもいい。
人に何を言われてもいい。
僕は二人を幸せにしたい。
でも・・・・幸せなのはうわべだけ。
僕もきっと、幸せなのはうわべだけなのかもしれない。
一皮剥けば、昔の僕がそこにいる。
自分でも嫌っていた僕が・・・・
僕は昔に戻りたくはない。
昔の自分は嫌だ。
常に前を向いて、そして進んでいきたい。
でも・・・・疲れてしまった。
本当に疲れてしまった。
二人の人生を、二人の想いをたった一人の人間が受け止めるなんて・・・
それは大それたことなんだろうか?
かたちだけなら何とでもなる。
しかし、僕は中身から何とかしたかった。
かたちだけなら昔の僕と同じことだ。
でも、昔の僕とそんなに大して変わらない僕は・・・・

難しいことだ。
勉強とは違って、いくら考えたって答えは出てこない。
アスカなら、考える前に行動よ!!なんて言うかもしれないけど・・・・
だからアスカはああして執拗に身体のつながりを求めるのかもしれない。
僕は応じようとも思ったけど・・・・実際のところ、やっぱり怖い。
アスカとそう言う関係になることによって、僕は今までの三人の関係が崩れる
ことを今は恐れている。そしてアスカを全て受け止めることも・・・・
試してみてもいい。
しかし、結果を思うと辛くなる。
綾波はすべてを聞いている。
衣擦れの音、アスカの熱い吐息、そしてくちづけの音・・・・

もう何をしても、イエスと言ってもノーと言っても何かが壊れそうな気がする。
最善の道を捜し求めて・・・・そして今の僕があるはずだ。
だが、結果としてそれが最善だったのかと言うと、僕は素直にうなずけない。
ああすればよかった、こうすればよかったと思うことばかりだった。
しかし、僕は後悔しない。
僕が自分で選んだ結果なのだから。
でも僕は・・・・自分が傷付くならいい。
傷付くのは慣れている。
しかし、人を傷付けるのは・・・・何時まで経っても慣れない。
慣れたいなんて思わないが、いつまでも僕を苦しめ続ける。
その苦しみから逃げ出したくなることもあるけど、そんな無責任は嫌だ。
罰は罰として、僕は甘んじて受けるつもりだ。
だが、だが・・・・僕には微笑みが痛い・・・・・・・


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