私立第三新東京中学校

第一話 連絡網

最後の使徒、カヲルくんを倒してから早くも一ヶ月が経とうとしていた。
あの時以来、僕は一度もネルフ本部には行っていない。招集もないし、たぶん
もう、あそこにいってEVAに乗ることもないだろう。

闘いの後始末がどうなっているのかわからないけれど、ミサトさんによると、
日本政府によって復興計画がなされ、人も徐々に戻りはじめているようだ。
ミサトさんはあの後しばらくふさぎこんでいたけど、今ではもういつものミ
サトさんに戻っている。でも、ネルフについて聞いてみると、

「んー?シンジ君は気にしなくていいわよ。こっちはこっちでちゃーんとやっ
てるから。それよりアスカの心配でもしてなさい。」

と、はぐらかされてしまう。まあ、もう僕には関係のないことだ。しかし、
アスカは本当に心配だ。買い物がてらちょくちょくお見舞いに入って行っては
いるけど、まだ元のあのアスカに戻る気配はない。

綾波については、あれから一度も会っていない。会う勇気もない。


プルルルル、プルルルル、

「シンちゃーん、電話ー」
「はいはい、今出まーす。」

「もしもし」
「あ、碇か?」
「ケンスケ?」
「ああ、ひさしぶりだな。」
「元気だった?みんなは?」
「ああ。それよりシンジ、今日おまえに電話したのは他でもない。学校の
連絡網だ。」
「連絡網?で、なに?」
「あさってから学校が再開されるそうだ。」
「本当!?]
「ああ、それで今片っ端から電話してるところさ。」
「学校かー。それで他のみんなはどうなの?」
「取り合えず俺は委員長から電話をもらったんで、委員長は来るだろ、トウジ
もくるっていってた。後の連中はこれから電話してみるところ。」
「そうか、トウジも・・・」
「トウジがな、気にするなっていってたよ。」
「でも、トウジの足は・・・」
「碇のせいじゃないって。大体碇は自分のせいにしすぎるんだよ。あんまり気
にしすぎるとまたトウジに殴られるぞ。」
「・・・」
「ま、それはいいとして来れるんだよな、学校。」
「あ?ああ。絶対行くよ。でもアスカはまだ・・・」
「惣流のことは委員長から聞いたよ。」
「洞木さんも、行ってるんだ、御見舞い。」
「ああ、かなり心配してたよ。ところでシンジ?」
「なに?」
「綾波のこと知らないか?」
「!!!]
「彼女の電話番号知らないからさ、同じエヴァのパイロットのシンジなら分か
ると思って。」
「し、しらないよ!もうあの後一度も会ってないし、本部にも行ってないん
だ。」
「そんな大きな声出すなって。シンジが綾波のこと好きだってのは知ってるん
だから。」
「ち、違うよ!!僕はそんな・・・」
「いいっていいって。じゃ、シンジ、あさって学校でな。」

ブツッ、ツーツーツー

ケンスケのやつあの事を知らないからそんなことが言えるんだよ・・・

「シンちゃーん、誰からだったの?」
「ケンスケからだよ。あさってから学校が始まるんだって。」
「あ、そう」
「あ、そうってミサトさん、驚かないの?」
「あ、あたしは知ってたからね。」
「なぁんだ。そうならもっと早く言ってくれればよかったのに。」
「シ、シンジ君を驚かせたかったのよ。」
「どうしたの、ミサトさん?ドモっちゃって。」
「な、なんでもないのよ。そうそうシンジ君、ビールもう一本持ってきて!」
「もう、これで6本目ですよ。」
「いーのいーの。はやくもってきてー!」
「しょうがないなー、これで最後ですよ、ミサトさん。」

「ふう、あぶないあぶない。お楽しみはこれからなんだから・・・」


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