最終話
人のつくりしもの
(一瞬の沈黙)
「エッチ、チカン、ヘンタイ、信じらんない!」
パン!!
「しょうがないだろ、朝なんだから!」
パン!!!
「いいかげんに起きて下さい。お父さん。」
「うーむ。あと5分。」
「(ピクピク)何シンジと同じこと言ってるんですか!さっさと起きて下さい!」
(一瞬の沈黙)
「ギ、ヤー。」
走り去るアスカ。一人残されるゲンドウ。
「…フッ。問題ない。」
「いいかげんにアンタも起きなさい。レイ!」
あれ…いない…。
「なに?」
私は、心臓が止まるかと思った。
「あ、あああ、あんたね。いきなり後ろから話しかけないでよ。び、びっくりしたじゃない。」
私が振り向くと、レイはシャワーを浴びて出てきた所だった。…裸だ。
「起きたのなら、おはよう。と言うものなのよ。分かった?」
レイはうなずく。
「さあさあ、男どもが起きる前に、早く着替えなさい。」
「何故?」
「女の肌は、男に見せてはいけないの。」
「何故?」
「…その方が、ありがたみが出るからよ。」
「そう。」
こうして、私の日常が再び始まった。でも、もう「ありふれた」なんて言わない。この生活は、毎日自分で作って行かなくてはならないものだ。家族みんなで作らないと、幸せには、なれないんだ。
「シンジ、たまには私より先に起きて朝食くらい作って、『おはよう、アスカ。』くらい言ってみなさいよ。それがダメなら、『アスカ、今日はいい天気だから町まで出よう。』とか言って私を誘いなさい。」
「ゥゥゥ、何で?」
「アンタバカ?自分から心を開かなければ、相手も心を開かないのよ。それに、私ばっかり母親役をやってるんじゃ、疲れるじゃない。たまには、アンタがやるのよ。それに…」
「それに?」
「私が事故とかにあったら逆戻り、じゃいけないのよ。幸せは、努力が必要なんだからね。素直になる努力が。」
「僕は、アスカが側にいてくれるだけで、幸せだよ。」
私達は、みんな「見えない翼」を持っている。
みんな、気付いてないだけ。
他人の翼にくるまれていると、とても気持ちが良くて、つい自分の背中にも翼があることを忘れてしまう。
でも、いつか、気付かなくてはならない。
未来にはばたく見えない翼は、あなたの背中にもあることに。
おばさま。天国のおばさま。いろいろあったけど。私は今、幸せです。
それから私達が大人になるまでに、本当にいろんな事があったけれど、
(明るくなったレイがへぼかったり、急にシンジがもてだしたり、おじさまが再婚するとか言い出したり…ありすぎて、伝えきれないから。)
その話は、また今度。