(勝手に)200話到達記念投稿
かくしEVAルーム(勝手に)にせ外伝。(186話のパロディ?)

僕はダメだ。
僕はアスカとくらしている。
アスカはわがままいっぱいで、いつも僕を元気にしてくれる。
僕はレイともいっしょに暮らしてる。
レイはいつも落ち着いていて、いつも僕をやさしい気持ちにしてくれる。
でも、どうして…
「どうして僕の胸には、穴が空いたようなのだろう?」
アスカもレイも僕を愛してくれてるのに、
僕はアイされているのに。
どうして愛されるほど、「こころ」が乾くのだろう。
どうして「こころ」が寒いのだろう。
助けて。
助けて。
誰か助けて。
アスカ、レイ、トウジ、ケンスケ、洞木さん、ミサトさん、リツコさん、マヤさん、青葉さん、日向さん、冬月さん…父さん。母さん。誰か、助けてよ。
助けて…カヲル君。


シ者の最期


「ごはんまだぁ!?」
2、3歳の子供が両手に箸を握ったまま、テーブルを叩いている。
あれっ?
確か、テーブルを叩いていたのはアスカだったような…
「はいはい、すぐご飯にするから待っててね。」
そう言ってエプロンを着けて台所に立ったのは…

「母さん?」

そして所在なげに、うろうろしている”男”が…

「父さん?」

男は台所をうろうろしていたが、結局、料理をしている女に追い出されてしまった。
「はいはい。あなたはあっちで新聞でも読んでて下さい。」
男はしばし、不満そうにしていたが、結局、女のいうことに従った。

「な…何なんだよ。これは。」

そんな僕の声に答えるかのように、僕の後ろから、声が聞こえてきた。
「現実というものは、見方を変えるだけでまるっきり別のものに変わってしまう。そんな脆弱なものでしかないよ。人、一人の価値観なんて、ちっぽけなものでしかないからね。でも、ヒトはそんなちっぽけなモノサシでしか物事を計れない。人は一人だからね。だから人はいつも傷つけ合い、こころに痛みを感じている。こころが痛いと感じるから、生きるのも辛いと感じる。ガラスのように繊細だね。特に君の心は。」
僕はこの声を聞いたことがある。でも…そんな…まさか…
僕はおそるおそる、振り返った。
「そう、好意に値するよ。」
そこには、僕が忘れられない。…風のようにさわやかな…シトが…立っていた。
「好きってことさ。」

……カヲルくん。


angel`s wing. only one episode. "or knock`n on the heaven`s door" (胸のドアを叩いても)
そんな…君は…僕が…僕が…。
そんな僕を横目に、カヲル君は続けた。
「君の世界観は、君が君自身で作り上げたものだ。でも、それを辛いと感じるのなら、自分で新しい世界観を作った方がいいと思うよ。君は何を、苦しいと感じているんだい?」
僕が…僕が……僕は…
「お母さんがいないんだ。僕には。でも、みんながやさしくしてくれている。だから、さみしくなんかない。僕にはアスカがいるし、レイもいる。お母さんとは別人だけど。二人はお母さんの代わりなんかじゃないけれど…僕のこと好きでいてくれるんだ。僕のことアイしてくれるんだ。だから寂しくなんかない。」
「何が苦しいんだい?」
「アイされているんだ。」
「何が苦しいん」だい?」
「愛されてるんだ。」
「何が苦しいんだい?」
「愛されているのに…愛されているのに…何か違うんだ。」
「違うって、何が?」
「愛されているのに…愛されるほど…こころが乾くんだ。」
「…でも、本当は、君も、もう解っているんだろう?」

「シンジぃ!!ご飯まだぁ?」
アスカは子供みたいに両手に箸を握ったまま。テーブルをどんどん叩いている。
「はいはい、すぐご飯にするから待っててね。」
「全く、アンタとレイ、二人もいてどうしてこんな時間かかるのよ!?」
「まあまあ、これでも急いでいるんだから…」
「ほんとに!?とにかく、早くしなさいよ!!アタシほんとにおなかぺこぺこなんだから!!」
僕はアスカの様子に笑みをこぼしながら、傍らに立つ綾波に話し掛けた

「何を…君がいった何を言いたいのか解らないよ…カヲル君。」
カヲル君は、じっと僕を見つめた。そして、口を開いた。
「本当は、もう、解ってるんだろう?
愛されることと、愛することは、別のものだってこと。

そして君は『お母さん』を求めてたんじゃなくて、『おかあさん』になりたかった、ってこと。


暫くの間、僕は考えていた。
料理を作ってる僕。
(料理を作ってる母さん。)
アスカを背負ってる僕。
(僕を背負ってる母さん。)
レイと夜道を歩く僕。
(父さんと夜道を歩く母さん。)
二人の面倒をみてる僕。
(二人の面倒をみてる母さん)
洗濯してる僕。
(洗濯してる母さん)
料理を作ってる僕
(料理を作ってる母さん。)
「そっか…。僕は…、『お母さん』のように…なりたかったんだ。人を愛せる人間に…なりたかったんだ…だから、…僕は…『お母さん』の…真似を…してたんだ…。なんだ…そんなことだったのか…。僕の半分は…『お母さん』で、出来ていたんだ…。」

「ようやく、わかったみたいだね。シンジ君。
カヲル君が僕を見つめている。
「じゃあ、そろそろお別れだね。シンジ君。」
カヲル君はそう言うと少し悲しそうな顔をして、それから僕に背を向けた。
そして、歩き出した。
一歩。
二歩。
「ま、まってくれ!カヲル君!!」
僕はカヲル君を追いかけようとした。

カン。

見えない壁に阻まれる。
「カヲル君!カヲル君!」
壁を叩く僕。しかし、びくともしない。
カヲル君は、悲しそうな声で、言った。
「そこからこちら側に来てはいけないよ。シンジ君。…だって、僕はもう…死者だから。」
僕は壁を叩き続けた。
「カヲル君、カヲル君!僕は…僕はどうしても君に伝えなきゃいけないことがあるんだ!カヲル君!!!」
カヲル君は、立ち止まり。僕の方にふり向いた。
「好き…だったんだ…僕は君のこと、好きだったんだ。カヲル君」
シ者は、最期に微笑んで、こう言った。
「ありがとう。シンジ君。君に会えて、嬉しかったよ。」
僕は…

目が覚めた。
時計を見ると、午前5時30分。
気の早い小鳥のさえずりが聞こえたような気がした。
そんなことを考えてると、朝日が昇りはじめた。
「カヲル君…ありがとう、カヲル君。僕も、君に会えて…嬉しかったよ。カヲル君…さようなら。」

僕は部屋を出た。
アスカもレイも、まだ、寝てる。
起きてきたら、伝えなきゃいけないことが、たくさんある。
愛されることと愛することは、別のものだってこと。
僕は、もう、人を愛せるってこと。
そして、それを口に出せるって、こと。
「アスカを連れて、散歩にでもいこうかな。もちろん、レイもいっしょに。」
今まで、僕はアスカやレイに「好きだ」って、言われるだけで、「好き」って、あまり言ってなかった気がする。だから、アスカにもレイにも、寂しい思いをさせてしまったんだと思う。
でも、やっと気付いた。
僕は…

サーッ。

アスカの部屋のフスマが開いた。

「おはようアスカ。今日は、いっぱい話したいことがあるんだ。」



記念コメント(駄目人間編)

シンジ:とほほ・・・僕はやっぱり駄目人間なのかなあ?
アスカ:何言ってんのよ、これに出てくるシンジ、ちゃんと悟ってんじゃない
        の。
シンジ:そうだね、僕もこうなりたいよ・・・・・
アスカ:読んでわかってるんだったら簡単でしょうに。
シンジ:それが簡単じゃないから、駄目人間なんだよ。そもそもこういう作品
        でこう言われてしまうこと自体が、僕の駄目さを証明しているんだよ。
アスカ:まあ・・・確かにアンタは駄目人間ね。
シンジ:・・・・そこまではっきり言わなくてもいいだろ・・・・
アスカ:アンタは馬鹿だから、はっきり言わなきゃわかんないでしょ?って言
        うより、人は言わなきゃわかんないもんなのよ。
シンジ:そう・・・だね。アスカの言う通りだ。
アスカ:でしょう?だからアタシも・・・・その、アンタのことが好きだ、っ
        て言ってるのよ。アンタが誤解しないようにってね。
シンジ:アスカ・・・・
アスカ:だからアンタも、何でも胸の中に仕舞い込んでおかないで、このアタ
        シに打ち明けちゃいなさいよ。ほら、隠してたんでしょ、アタシのこ
        とが好きだって言う気持ち・・・・
シンジ:ど、どうしていきなりそういうことになるんだよっ!?
アスカ:え、違うの?いや、違わないわよね、アンタは。
シンジ:アスカ・・・・恐い。
アスカ:なんですってぇ!?

げしっ!!

アスカ:あ、またやっちゃった・・・・ま、いつものことだし、いいわよね。

アスカはそう言うと、気絶したシンジを引きずって隅っこへどかし、自分は部
屋に戻ってしまいましたとさ。めでたしめでたし。

さて、200話記念、一発目は山田さんの作品です。 しかし、掲載と同時にコメントをつけられませんで、申し訳ありませんでした。 まあ、ない方がよかったのかもしれませんけど。とにかく、失礼なことをして しまいまして、深くお詫び致します。一応つけるつもりではいたんですけど・・・ とにかく、同じにせでも本田さんのものよりはかなり読んでて助かるものなの で、安心して読めたでしょう。ほんと、こういう結末、迎えたいですね。 あ、そうそう、山田さんのページも再開されたようです。これが続くかどうか わかりませんけど、個人的には応援しております。 では、今日のところはこれで・・・・
山田さんへのお便りはこちら: yamada@tp4.tp.titech.ac.jp
山田さんのページはここ: 失楽園
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