私は、惣流アスカラングレー




エヴァンゲリオン弐号機、元、専属パイロット




ドイツの大学を14歳で卒業した、天才少女




それが、私




それが、私




それが、私のすべてだった




そう、日本に来るまでは







それでも良かったの、私は



私にはそれしかなくっても、良かったの
























Love Love Love


























日本に来て、逢った



シンジに






初めて逢った時の印象は―――





   冴えない奴






とても、私と同じエヴァパイロットは思えなかった



おどおどして、弱気で、内罰的で






   なんで、こんな奴が選ばれたの





私は、シンジのそういうところを見るたびに、いらいらしてた










最初は、私にも余裕があった



シンジをばかにしてる、余裕が







でもそのうち、シンジにどんどん追いつかれて






そして遂には追い抜かれちゃったのよ











私にとって、エヴァはすべてだった



私の存在を示す、すべてだった



私がここにいてもいい、すべてだった



私の、すべてだった











私は、シンジを憎んだ



   何でこんな奴が、私より上なの!



本当に、憎かった



   シンジなんか、いなければいい



そう、思った










そして・・・・




私は、エヴァを、動かせなくなった



私の、価値が、なくなった




私の、生きている理由が、なくなった



















気が付いたら、私は見知らぬところにいた



いつの間にか、ベッドに寝せられてた



知らない天井を、見てた











でも、そんな事はどうでも良かった






そう、もう、どうでもよかったのよ






生きていることも




















死のうとは、思わなかった





でも、生きようとも、思えなかった





ただ、そこにあるだけだった






あれほどまで嫌ってた、人形、そのままだった





ママが握り締めてた、人形、そのままだった












でも、それでも良かった




そのまま、人形になれたら良かった




人形に、なりたかった




何にも考えずに済む、人形に




なりたかった






















私は、人形のように、過ごした



何にもしなければ、人形になれると思った



人形になれば、もう、嫌なことも起こらない



もう、あんな想いをしなくて、いい



あんな、辛いことは、もう、いや







私は、人形になりたかった






あれほど嫌ってた、人形に








なりたかった
























そんなとき







シンジが来た








私の赤い、お弁当箱を持って







赤い、お弁当箱を、いっぱいにして








シンジが来た



















私は、なんにも感じなかった






あれほど憎んでいたシンジ、だったのに





もう、なんにも感じなかった















だって、私は人形、だったんだから













そう、それまでは































シンジはあのとき、お弁当を持ってきた





私が、大好きだったお弁当を











私はなぜか、食べてみたくなった





人形のくせに




















私の好きな、卵焼きが入ってた




私の好きな、から揚げが入ってた









私の好きな・・・ シンジの愛情が入ってた・・・


























そう、そのとき初めて、私は気付いたの




私が、どんなにシンジのことを想っているのか




私がどんなに、ばかなことをしてたのか







私が、どんなにシンジのことが・・・  好きなのか











初めて、気付いたの




















そして―――


















シンジの唇が・・・ 私の唇に触れた、その瞬間











   体の中から、熱いなにかが、込み上げてきた











シンジの優しさに触れた、その瞬間











   私の中のなにかが、融けていった













       素直な私になれる―――












そんな、気がした













       今までの私から、さよならできる―――












そんな、気がした























いつの間にか、私は












        涙を、流してた・・・・


































次の日も、シンジは来た






私のお弁当を、持って












私はずっと、待ってた




シンジが、来るのを












シンジの顔が、見たかった




シンジの声が、聞きたかった




シンジのぬくもりを、感じたかった




シンジの優しさに、触れたかった









私の中は、シンジでいっぱいになってた
























シンジは、来た





私の、望みどおりに





私は嬉しかった―――   とても―――





シンジは優しかった   この日も





優しすぎた











私はその優しさに、また涙が出てきた






知れず、涙を流してた






人前で泣くことを、あれほど嫌ってた私が






シンジの胸で、泣いていた






シンジに抱かれて、泣いていた






シンジの優しさの中で、泣いていた











それは、とても幸せな・・・






初めての、涙、だった





































次の日







また、シンジはやってきた







シンジは、桜の花を持ってきた







奇麗な、桜の花を、持ってきた
















でも、その花は






儚かった






儚い美しさ、だった











その花を眺めているうちに





私はまた、悲しくなってきた





私も、この花と同じなんだ





儚く散っていく、この花と同じなんだ








そう、思えてきた


















でもそのとき





シンジが言った












    儚いから、奇麗なんだ




    それは、人間も同じだよ




    そのために人間は、努力するんだ




    だからアスカも、アスカらしく生きて欲しい




    あの桜のように輝く、アスカになって欲しい




    そんなアスカを、僕は見たい

















私は、こころの中に、青空が広がっていくのを感じた





そしてそこには、桜の花びらが、舞っていた





私を、勇気づけてくれるように













そう、本当は私も、わかってた




今までの私が、本当の私じゃないことを




わかってた













でも




怖かった




すごく、怖かった




本当の私を、見せるのが




本当の私らしく、振る舞うのが










   嫌われたくない




   私のことを、見て!




   捨てないで!!













私はずっと、怖かった

















でも、シンジは――― 違った





シンジは、ありのままの私を見たい、と、言ってくれた




シンジは、私らしくあって欲しい、と、言ってくれた







シンジは、そんな私を見たい、と、言ってくれた

















シンジのその一言は、私に、かけがえの無いものを与えてくれた





シンジのその一言は、私に、勇気をくれた





シンジのその一言は、私の背中を、優しく、後押ししてくれた



























そして私は










私の、第一歩を









新しい私の、第一歩を








ほんとうの私の、第一歩を











踏み出すことが―――











    踏み出すことが、出来た
















































それからの私は








相変わらず、いろいろある







シンジのこと





レイのこと





ミサトや、リツコ、シンジのお父さんのこと





いろいろ、ある












だけど、いろいろあるから、私は生きてるんだ






いろいろあるから、私なんだ






何もない世界なんて、それは私じゃない






ただ、そこにいるだけの世界なんて・・・






私じゃ、ない












だから私は、生きてるの





これが、生きてるって事なの








辛いことが好きなんじゃ、ない






辛いことは、やっぱり、いや






でも、それも含めて、やっぱり私なの






私なの







私が、今ここに生きてるって、ことなの














だから私は、あきらめない








だから私は、私らしく、生きる








未来の私が、今の私を誉めてくれるように








自分らしく







自然に







笑って







泣いて







怒って







喜んで







悲しんで













一生懸命に







ときには、無理をして






ときには、怠けて






ときには、張り切って






ときには、落ち込んで












いろんな私がいるけど、どれもみんな、私






そんな私が、自分が、好きになれるように






私は、生きる






そして、そんな私のことを






シンジも、好きになって欲しい






そのためにも、私は








   私らしく、生きる
























だって、それが―――

















         惣流アスカラングレー


















なんだから!!



































【あとがき】


高嶋さん、かくしEVAルームの一周年、おめでとうございます!


一年ですか・・・ 早いものですね。

この一年間、誰よりもコンスタントに作品を発表し続けてきた高嶋さんには、こころから敬意を表します。


さて、一周年記念と言うことで、私もひとつ、書かせて頂きました。

どんなものにしようかと少々考えたのですが、やはりかくしEVA関連のものにしようと思い、この作品となりました。

相変わらず独り善がりで脈絡も何もないのですが、私からのかくしEVAへのファンレターだと思って頂ければ嬉しいです。



それでは、これからもよろしくお願い致します!






記念コメント

アスカ:はぁ・・・・
シンジ:どうしたの、アスカ?ため息なんてついちゃって・・・・
アスカ:いいと思わない、takeoの話?
シンジ:そりゃあいいのは当然だけど・・・アスカにしては珍しいね、人を褒
        めるなんてさ。
アスカ:アタシだってたまには人を褒めるわよ。それに、モノローグマニアな
        んだから・・・
シンジ:えっ!?アスカって、モノローグマニアだったの!?
アスカ:わ、悪い?
シンジ:いや、悪くないよ。でも、なんだかかわいいなぁ、って思って。
アスカ:ば、ばかっ!!何言ってんのよ、恥ずかしい・・・
シンジ:ふふっ、アスカも普通の女の子なんだね。
アスカ:・・・・普通にしちゃったのは誰のせいなのよ、全く・・・
シンジ:えっ?なに、聞こえなかったけど・・・・
アスカ:聞こえなくっていいの!!

げしっ!!

シンジ:あうぅ・・・・
アスカ:もう、いいからさっさと寝なさい。早起きしてアタシの為におべんと
        作んなくっちゃいけないんだから・・・・

オチなし!!とほほ・・・・(T_T)


えと、高嶋です。 takeoさんとはメールでお付き合いさせていただいておりますが、最近はお互い に忙しく、なかなかやり取りも頻繁に行えておりませんでした。でも、こうし て記念の時に協力してくれる・・・うれしいことですね。特に私はネット界で も孤立しまくっているので、感激もひとしおだったりします。さらにそれがか くしEVAをもとに作られているんですから・・・・ さて、かくしEVAで一番好きなところと聞かれれば、結構多くの人がアスカ が復活するところだと言います。私はあまり文章が馴染んでいないこの時期を 結構毛嫌いしているところがありますが、でもはじめはかくしの基礎を作り上 げた大事な個所ですからね。だからこそtakeoさんもここをお馴染みの手法で描 いてくれたんだと思います。ちゃんとした形で示されると、なかなかによいも のですね。takeoさん、どうもありがとうございました。今後とも宜しくお願い 致します・・・

takeoさんのページはここ:"NO Fear!"
takeoさんへのお便りはここ:take-o@lares.dti.ne.jp
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