西暦 2016年
既に人類補完計画は始まっていた
だが全てを語るには、
あまりにも時間が少ない
ここでは 碇ゲンドウ という中年
彼の心の補完を見てみることにする
偽第二十七話
溶
け
合
う
心が、私を、壊す
Final Episode:
GOOD BYE, and...
「バカゲンドウ! 起きなさいよ!」
「うわっ!!」
いきなりの大声で目が覚めた。
「やっと目が覚めたの!?」
「・・・え?」
ゲンドウは寝ぼけまなこで、その相手を凝視した。
「あれっ?」
「何してんのよ、さっさと着替えなさいよ!今日から学校が始まるのよ!」
「学校・・・?」
ゲンドウは未だにしゃっきりしない脳細胞を、全て動員して考え込んでみた。
(私は一体ここで何をしてるんだ? 確か、ついこの間までネルフの司令官をやっていたと
思ったのに・・・)
「ほら、ゲンドウ! 私は下で待ってるからすぐ降りてくるのよ!」
「加持君、 君は一体何をやっているのかね?」
バシッ!
いきなり殴られた。
「いつまで寝ぼけてるのよ!? 私はア・ス・カ!!」
そう言うと、ダダダッと階段を降りていった。
「あっ!」
だがゲンドウは殴られたショックですべてを思い出したのである。
「そうか! そういえば、今は補完計画の真っ最中だったっけ?」
ネルフのほとんどが終わってしまったので、ついにゲンドウの番が来たことを忘れていた。
(そうか、俺はいま補完されているのか・・・)
だが、いまいち釈然としなかった。一体これのどこが補完につながるというのだろう?
なんで加持がアスカの振りをしなくてはならないのだろうか?
「ほら、早くー!!」
下から、アスカもどきが呼び付けたので、ゲンドウは制服に着替えて降りることにした。
トン、トン、トン。
台所から包丁の音とともに、味噌汁の匂いがしてくる。
(いい、匂いだ)
久しく忘れていた家庭の空気。ゲンドウは少し気分がよくなった。
だが、彼は台所に入ったとき、自分の目を疑った。
「あら、『おはよう』は、ゲンちゃん?」
「冬月!?」
なんと、そこに立っていたのは、エプロンを着けた冬月だったのである。
「ふ、ふ、冬月!?」
しかも冬月は、エプロンの下に何も着ていなかった。素っ裸で、エプロンだけを突っか
けていたのである。
包丁を持った冬月が近づいてきた。
「お、お前なにを!?」
「ほら。おはようのキスは?」
そういって、頬を突き出す。
「う、うわあああああああ!!」
何がなんだか分からなくなったゲンドウは玄関へと飛び出した。
(な、何を補完してるんだ!?)
「遅いわよ、バカゲンドウ! ほら、行くわよ」
台所を出るなりアスカもどきに捕まった。
「じゃあ、おばさま、行ってきまーす」
「はい、気をつけてね」
表に出たゲンドウは、わけがわからないまま学校に向かった。
「加持・・じゃなかった、アスカ。」
「なあに?」
「(気持ち悪いな)私達は何をしに学校に行くんだね?」
「あら・・・」
そう言うと、加持は顔を真っ赤に染めた。
バシッ。
「ぐあっ!」
そしてゲンドウの背中を思いっきり叩く。
「やだ、ゲンドウったら」
「・・・?」
「今日は・・・学校さぼって二人で海に行くって、約束してたじゃない」
(なぜ!?)
「ちゃんと、ホテルの予約も取ってあるんだから・・・きゃっ、恥ずかしい」
(なんの為に!?)
だんだんと補完計画の雲行きが怪しくなってきた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。これって、補完計画じゃ・・・」
「どいて、どいてーっ!!」
その時、いきなり角から人が飛び出してきた。
「あっ、危ない、ゲンドウ!!」
とっさに加持がゲンドウを道路へと押しよける。
キキーッ。ドンッ!
たまたま通りがかったダンプカーがゲンドウを轢いていった。
「ぎゃーっ!!」
「ゲンドウ!!」
「うーん」
「ゲン・・・ちょっとあんた!」
ゲンドウには目もくれず、相手に突っかかっていく加持。
一方、角から飛び出してきた少女・・・はレイだった・・・は煙草を咥えてこれを悠然と見ていた。
「あんた、この落とし前、どうやってつけてくれるのよ?」
「けっ」
「ちょっと、聞いてんの?・・・この洗濯板」
「なんやと、コラ」
「あんたが洗濯板だから、そういってんのよ。あんたのせいで私のダチが大怪我負っちゃたじゃないの」
「この白豚が、黙って聞いとったら、言いたい事いいくさってからに」
「白豚!?」
「そこのヒゲがひかれたんは己のせいとちゃうんかい、コラ!? あんま勝手な事いっとったら、
しばき倒すぞ、このカスゥ!!」
「アアー、やるんか、コラ?」
「おおーっ、やったろやないけ!」
ものすごいガンを飛ばしあう二人。
「誰か助けて・・・」
ゲンドウの小さな呟きは、二人にはもう届かなかった。
西暦 2016年
人類は一人の中年の補完に失敗した
補完する人間の間に
何か重大な行き違いがあると考えられる
おわり
記念コメント(中年の愛編)
ゲンドウ:・・・・冬月・・・・
コウゾウ:・・・なあに、ゲンちゃん?
ゲンドウ:・・・・・ぷぷっ、「コウゾウ」・・・・
コウゾウ:・・・だってしょうがないじゃない。今の私は冬月じゃないもの。
ゲンドウ:・・・・ま、まさか・・・・・
コウゾウ:そ、今の私は、碇コウゾウだもの・・・・・
ゲンドウ:・・・・嘘だ・・・・嘘に決まっている・・・・・
コウゾウ:さあ、おはようのキスは・・・?
ゲンドウ:や、やめろ、気色悪い!!
コウゾウ:ま・・・・あんなに激しく愛しあった仲なのに・・・・
ゲンドウ:だ、誰がだ!!
コウゾウ:私と、あ・な・た!!
ゲンドウ:・・・・・そ、そんな事は知らん!!
コウゾウ:また、しらばっくれちゃって・・・・・昨日したのに今朝もしたい
から、そんな事言ってる訳?
ゲンドウ:ちがーう!!
コウゾウ:またまた・・・・でもそういうところが、か・わ・い・い!!
ゲンドウ:や、やめろぉ〜!!
この後のことは、皆さんのご想像にお任せします。え、想像なんてしたくない
って!?
記念投稿第二十六弾はぼんぎーさんこと、稲葉誠二さんです!!お忙しい中、
わざわざ私のためにありがとうございました。ほんと、うれしかったです。
では、稲葉さんに敬意を込めて・・・ぱちぱちぱち・・・・・・
この作品は、稲葉さんらしい、ゲンドウ達のお話ですね。さすがです。笑わせ
てくれます。今や稲葉さんはエヴァパロ界の筆頭ですから、そつの無い作りだ
と思いますね。それに、私のところだけでなく、最近では高原さんのところな
どにも投稿していて活力を感じます。凍結気味な「ゲンドウ」の方も、是非更
新していただきたいですね。お待ち致しておりますよ。
ほんとを言えば、私もお返しに何か投稿したいところなんですが、私の書くの
は雑すぎますからねえ・・・・稲葉さんの審査に引っかかってぽしゃるでしょ
う。ううう・・・情けなさ過ぎます。まあ、私はもとからうまく書けるなんて
これっぽっちも思っていませんから、既に諦めの境地に達しつつありますが、
そんな事はどうでもいいか。
では、最後にもう一度、稲葉さん、ありがとうございました。また今度、ゲン
ドウ板に書き込みをしますね。
(しかし、私のコメントは何かなあ・・・・ちと稲葉さんのお話とはずれがあ
るような気がするし・・・・それにへぼすぎ。ま、私はもともとコメディは書
けない人だから、仕方ないか・・・・・)
稲葉さんのページはここ:
その男、ゲンドウにつき
稲葉さんへのお便りは・・・・ええと、稲葉さんのページの感想板に書いてくださいませ。
私って手抜き。稲葉さん、ごめんなさいね。
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