「シンジ、解脱への道」



 カヲル君が居なくなった・・・・・・。
僕が自らの手で消してしまったんだ
僕の理想の人だったのに・・・・・
彼は本当に「ここに居てはいけない人」だったんだろうか
どうして僕は彼を消してしまったんだ・・・・


 シンジは、ミサトが去り、砂浜に一人残された後も、そこを去ろうとはせずに
一人打ちひしがれていた。
 どうして父さんは、・・ネルフは、僕を辛い目にばかりあわせるんだ!
どうしてこのままにしておいてくれないんだ・・・
どうして
どうして・・・・・
・・・・・・・・・






 ハッとした。
一瞬、シンジ君は自分が何処に居るのか分かりませんでした
暖かい春の陽射しが差し込み、その心地好さについ、うとうととしていたようで
す。
そして、唐突に、
「碇シンジく〜ん♪、お目覚めかなぁ」
という声・・・・。
 周りを見渡すとクラスの皆が僕の方を見てあざ笑っています。シンジ君は嫌面
しながら、面倒臭そうに声の主の方を振り向きました。そこには、起き抜けに見
るにはうっとおしいミサト先生の顔がありました。

 ここは第三東京市立湯本学園高等部
 学内に温泉が出る、のどかな学校です。しかし、学校にいる人間は、決しての
どかなどとは言えません。

 熱血(バカ)教師 葛城ミサト

 手段の為に目的を選ばない狂信的科学者 赤木リツコとその下僕 伊吹マヤ

 決して自らの手を汚さず、ひたすら学長に責任を擦り付ける 冬月副学長

 学校の援助金を使い、埋蔵金を探し続ける日本史のヒマ人教師  加持リョウジ

 ぶりっ子と残虐ないじめっこの二つの人格を持つ女  惣流アスカ

 学校で二番目の根暗で嫌われ者のお笑いマニア    綾波レイ

 手袋、グラサンを決して外さず、変質者すれすれの格好と振る舞いで嫁に逃げ
られた、人間不信の学長 碇ゲンドウ


 そして、変態学長の息子にして、陰険で学校一の嫌われ者 碇シンジ・・・

 彼らの存在は、この学園の評判を400%ほど下げていた。
 
さて、お話の続き・・・
 
「私の授業で居眠りとは、い〜い度胸じゃな〜い」
 その笑顔とは裏腹に、いつものドスのきいた脅迫がシンジのキモをえぐります。

「ミサトさん・・・これは、その、・・・つい・・・・」
「ふ〜ん。つい・・・・・ね」
「そう、つい・・・・・・・・」
「罰として、バケツ持って廊下に立ってなさい!」
「うへぇ!」
 クラスは爆笑の渦に飲み込まれています。
 
みんなシンジ君に同情する様子も見せずにゲラゲラと嘲ります。
シンジ君は思います。
 「 そりゃそうだろう。人の不幸より楽しいものなんてこの世に無いもの。
 !! アスカの奴、鼻水垂らしながら笑ってやがる。
 ちくしょう、人の不幸を見て自分の自尊心を満たしてやがるんだ。あのアマ!
 後で靴に画鋲を入れてやる!! ふっふっふ、たのしみ、たのしみ(微笑)」

 シンジ君は相変わらず根暗な考えに浸りながら、廊下に出る前にクラス全体を
見回しましました。
「なぜそんな事をするかって? 僕の事を笑った奴を憶えていてあとで一人一人
“無言電話”でも掛けるに決まっているじゃないか。しかし、どうやら笑ってな
い奴なんていないみたいだ・・・・それならクラス全員に復讐するまでさ、ケケ
ケ」

 シンジ君は本当はみんなに嫌われて死ぬ程悲しかったのですが、生来の根暗の
為
陰険な復讐を想像する事で悲しみに耐えるのでした。と、クラスを見回すシンジ
君の目に希望の光が浮かびました。その視線の先には、密かにシンジ君が憧れて
いる「んはぁやなみい(」(訳:「綾波」)の姿が在りました。
 「そう言えば・・、綾波だけは笑ってはいないや。
そうさっ、綾波さえ僕の事を認めてくれれば・・・・・・」
 すると綾波さんが、フッと席を立ち、僕の側にやって来て顔を近づけて来るで
は有りませんか。
 シンジ君は想像しました。
「綾波はきっと僕を慰めてくれるに違いない。もしかしたら僕の事を好きなのか
もしれない。そうだ、そうに違いない。僕も綾波も根暗だしぃ、生まれてくる子
供もきっと根暗さ。根暗な男の子と陰険な女の子の二人。そして4人で飛びっき
りの邪悪な家庭を築くんだ!!!(血の涙)」
 シンジ君は一瞬、遠い妄想の彼方へ逝ってしまう所でしたが、ハッと気付き綾
波の顔を見ました。
「あっ、あの、綾波・・、なっ何を・・・」
先程の妄想を引きずっているので焦ってしまいます。

 そうしたら、綾波は「ニタリ」と、世にも無気味に口元を吊り上げ・・・、
「碇君・・・・・さっきのギャグ、最高だったよ・・・・・・・・くっくっ
く。」
シンジ君は吃驚しました。
(なんだと!!僕はギャグを言った憶えなんて無いぞ。どこがギャグだったとい
うんだ!・・・・・・ あぁ、綾波、また気持ち悪い笑い方して・・・自分の世
界に逝っちゃってる。まじで目が危ないぞ・・・・この女、いやまじで。)

綾波さんはそう言うと、何事も無かったかのように席に戻りました。

シンジ君は茫然としていました。
最後まで信じていた(?)綾波さんにも裏切られたからです。
しかし、立ち直りの早いシンジ君の事です。きっと直に、陰険な妄想にふけって
僕等にその勇姿を見せてくれる事でしょう。

(ふん、どうせ綾波なんて何を考えているのか分からないし。きっと、家に帰っ
てから布団の中で「くっくっく・・・・」なんて、思い出し笑いしてるに違いな
いのさ。そうさ、奴はお笑いマニアだしあんなに暗い性格なんだもの。それ位の
事流行りかねないよ。)

 しかし、妄想にふけっているシンジ君に、ミサト先生が容赦なく怒鳴りつけま
す。「何モタモタしてんのよ! 授業遅れるじゃないの! 余裕無いのよ、
今!」
何という勝手な言い草でしょう。
 仕方ないので、しぶしぶとシンジ君は廊下に出ます。
 「バケツ忘れんじゃないわよ!!」
 シンジ君はカチンときて、ミサト先生の方に歩み寄り、電光石火でミサト先生
のスカートを引きずり降ろしました。
 「ばあさんのケツ、略してバケツ」
余りのつまらなさと恐ろしさに、誰もが黙って下を向いてしまいました。
 みんなとばっちりを食いたくないのです。
  めきょ!!
 案の定、 ミサト先生の「しんくうとびひざげり」が、シンジ君の顔面を砕き
ました。間髪入れず、連続して入る「ちゃらんぼ」の嵐。
 シンジ君は既に最初の一撃で失禁しています。
 
あとには、肉を強打する無気味な音と、綾波の如何にも根暗な笑い声が寒々と響
いておりました。
「だって、あなたばあさんでしょ・・・・・」

   終わり


記念コメント(シンジ君とどこかおかしい綾波編)

シンジ:あ、綾波っ!!違うんだ、これは誤解なんだよ!! レイ :嘘っ!!碇君なんて知らないっ!! シンジ:あ、あやなみぃ〜!! レイ :ふふふっ!!冗談よ、碇君。私、碇君のことを信じてるから。 シンジ:もう・・・びっくりしたよ。でも、綾波にしちゃあ珍しく、僕をから かったりするんだね。 レイ :ごめんなさい。でも、私、碇君のいろんな顔が見たくって・・・・ シンジ:そうだったの・・・・ レイ :うん。でもやっぱり・・・・ シンジ:やっぱり・・・なに? レイ :やっぱり・・・・いつものやさしい碇君が、す・き!! シンジ:(ああ・・・アスカの影響をもろに受けてるなあ・・・・) レイ :どうしたの、碇君? シンジ:いや、何でもない・・・・ レイ :そう、よかった。でも、何だか顔色がよくないみたい。保健室でちょ っと横になりましょ。 シンジ:い、いいよ、綾波・・・ レイ :遠慮なんかしないで。私が添い寝してあげるから・・・・ シンジ:あ、引っ張らないでぇ〜!! レイ :碇君碇君!!
さあ、どんどん行きます。記念投稿第七弾は、の〜り〜原西さんのパロディで す。どうもありがとう。そしておめでとう。ぱちぱちぱち・・・・ で、私の感想は・・・・ がはははは!!いやー、面白い。やっぱりパロディはええなあ・・・・短い話 なんですが、この設定だけで続きがかけそうです。ご飯三杯は軽く行けますね。 って違う違う。 おっと、もちろんですが、私にはこんな面白いのは書けませんよ。 でも、綾波が・・・綾波がぁ・・・・(壊れる私) とにかくありがとう!!よろしければ今度機会がありましたら続きをお願いし たいところです。ほんと冗談じゃないですよ。おおまぢです。

の〜り〜原西さんへのお便りはこちら: x85115@ksc.kwansei.ac.jp
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