メモリー
P.N E・T
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記憶。
私には欠けているもの。
私が二人目であることを教えるもの。
ある年齢から下では存在しないもの。
忘れているわけではない。
なぜなら、私は存在しなかったのだから。
「代わりはいるもの」
欠落した記憶が、私を二人目と認識させる。
「なぜ、私は存在してるの?」
解けない疑問。本には書かれていないこと。
私は一人目ではない。だけど、周りは私を一人目と同じ名で呼ぶ。
私は綾波レイ。
私は私。でも、私ではない。
「私はなに?」
人ではないもの。人に創られし者。
でも、本当に私の望む答えをくれる人はいない。
「一つになりたい?」
寂しいと感じる私の気持ち。
「涙?」
泣いているのは私。
「私がいなくなったら、ATフィールドが消えてしまう。だから、だめ」
このレバーを引けば、全てが消える。使徒も、そして私も。
暗く広い空間。ネルフ総司令碇ゲンドウの座る椅子が存在している。
ゲンドウは卓上に置かれたテレフォンに手を伸ばした。そして、受話器をあげる。
「私だ」
「やっと捕まえたぞ、碇。完成したばかりの部屋にいるとはな」
「冬月か。何のようだ?」
「また、委員会がうるさく言ってきている」
「わかった。すぐそっちへ行く」
ゲンドウは立ち上がった。そして、視線を下に向ける。
「レイ。少し待っていろ」
五歳にも満たない少女は頷いた。少女にとってこの部屋には何もない。机が一つ置いて
あるきりである。少女は待っている間、椅子に座っていることにした。
少女には高すぎる椅子だったが、何とか座ることができた。机の上には、テレフォンの
ほか、何もない。使い方は知っている。少女にとってそれは触ってはいけないものではな
かった。
受話器を上げ、短縮ダイヤルの一つを押した。
ダイヤル音が聞こえる。そして、呼び出し音が流れてきた。
カチャ。
「はい。今、先生は出かけています」
幼いたどたどしい口調だった。
「あなた、誰?」
「碇シンジ・・・・・・」
「・・・・・・。あなたはあの人の子供なの」
「僕の父さんは碇ゲンドウだけど」
唐突になされる質問に、電話の相手は生真面目にも応えていった。そんな会話が延々と
交わされ、初めて相手は質問を返した。
「何の用?」
「用はないわ」
「どうして電話を掛けてきたの」
「電話があったから」
「電話で悪戯したら、いけないってお父さんに言われなかった」
「言われない」
「お父さんは?」
「いないわ」
「帰ってきたら怒られるよ」
「怒られないわ」
「そんなことないよ。お父さんだったらきっと怒るよ」
「そう」
「うん。怒られたらいけないから。バイバイ」
そして、テレフォンは切られた。
「私は怒られないわ。だって、私にはお父さんはいないもの」
そう少女は呟くと、受話器を置いた。
それとほぼ同時に、ゲンドウは再び、この部屋に戻ってきた。ゲンドウが見たのはレイ
が受話器をちょうど置くところだった。
「レイ。勝手に電話を使うな」
ゲンドウの少し荒くなった口調に少女は驚いた。そして、少女は少し嬉しそうにすると
素直にハイと言ったのだった。
これは、私の記憶。
違う。
私が経験したことではない。
これは、一人目の記憶。
脳裏に碇ゲンドウの顔が浮かび上がった。
私を創った人。
私が父親として望んでいた人。
そして、あの人の父親。
私はレバーを引いた。
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記念コメント(アスカとへぼ?レイ編)
アスカ:ファースト、アンタ、自爆なんてしてたんだ。
レイ :ううう・・・・そんなさみしいこと言わないで、アスカちゃん・・・
アスカ:だってアタシ、その時いなかったし、あとは入院してたんだもん。仕
方ないじゃない。
レイ :でも、でも・・・・
アスカ:ま、アタシなら、自爆なんていうそんな間抜けなことはしなかったで
しょうけどね。
レイ :でも、アスカちゃんは入院して・・・
アスカ:うっさいわね!!マサカリで行くわよ!!
レイ :ううう・・・こわいこわい・・・・アスカちゃん、かんにんして・・・
アスカ:あの入院って言うのは、言わば見せかけなのよ!!アタシがいなくな
ると、いかにまともな戦いが出来ないか、しっかりと見せ付けてやり
たかったのよ!!
レイ :そうだったんだ。へー、しんちゃんを引き寄せるための罠じゃなかっ
たんだ・・・・
アスカ:あ、当たり前でしょ!!誰があんな奴・・・・
レイ :あたしはアスカちゃんのまねをして、しんちゃんを誘惑してるのに・・・
アスカ:って、なんですって!?シンジを誘惑!?
レイ :うん。しんちゃんにだきだきしてもらいたくって・・・・
アスカ:ア、アンタ・・・・
レイ :どうしたの、アスカちゃん?顔が恐いよ。
アスカ:いっぺん死ねぇっ!!
レイ :きゃあっ!!
アスカ:待ちなさい!!このアタシのマサカリから、逃れられるとでも思って
るの!?
レイ :ひー、かんべんかんべんー!!
アスカ:二度とシンジに悪さ出来ないように、その顔をすだれに切り刻んでや
るわ!!
という訳で、記念投稿第六弾は、E・Tさんの短編です!!ありがとうござい
ます!!いやー、めでたい。ぱちぱちぱち・・・・・
で、私個人の感想の前に、コメントでへぼレイなんぞを使いまして申し訳あり
ません。お詫び致します。
まず、E・Tさん曰く、「綾波レイが自爆する『涙』の自爆用のレバーを引く
何秒間かに、綾波レイが何を考えたのかという題材で書いたつもりです。死ぬ
少し前に、二人目の綾波レイが一人目の記憶をかいま見ると言う設定です。」
だそうです。なるほどなるほど・・・・で、私の感想ですが・・・・・
ちびレイらぶ!!
って何言ってるんでしょう?嘘です。嘘に決まってます。忘れるべし。
もし忘れないようなら、マサカリで一発・・・・ってをいをい・・・・
ごめんなさい、私も疲れてるんでしょう、きっと。
とにかくありがとうございました。また機会がありましたら、よろしくお願い
しますね。
E・Tさんへのお便りはこちら:
m376014@ccsrg.cst.nihon-u.ac.jp
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