「Autumn colors!」

 ゴトン、ゴトン‥、ゴトン、ゴトン‥‥

 秋も大分深まった山の中を、一両の電車が走っている。
 木々はすっかり紅葉しており、鮮やかな赤・黄・橙が眩しいくらいにあたり一面
を覆い尽くしていた。

 今、アスカとシンジは電車に乗って、山へと向かっている。
 アスカが雑誌の1ページを指差し、いつもの調子でどうしても行きたいと言い出
したからだ。こういう時のアスカには逆らっても無駄だとシンジも心得ており、難
なく了解した。


 「ねぇ、シンジ、シンジ!」
 「なに? アスカ」
 「ここ、ここに行くわよ!」

 アスカはそう言うと、雑誌に載っている山の写った写真を指差した。どうやら、
アウトドアの特集があっているようで、アスカの指した写真はどこかの山の森林公
園だった。

 「別に、構わないけど‥。ただ、けっこう遠いよ」
 「大丈夫、大丈夫! 朝早く出れば、夕方頃には帰ってこれるんじゃない?」
 「まあ、そうだろうけど‥」
 「ね、ね?」
 「うん、いいよ。アスカが行きたいって言うのなら」
 「うん!!」

 アスカは嬉しそうに肯いた。


 そのアスカも、今は電車の中ですっかり寝ていた。シンジの肩に頭を預け、ぐっ
すり状態である。
 (まったく、自分から言い出したくせに‥‥)
 シンジはそう思い、つい苦笑する。
 (でも、仕方無いかな。あんなに早く起きて弁当の用意をしていたんだから‥)
 不思議と今回はアスカが自分から弁当を作ると言い出した。
 その申し出に、シンジは快く任せた。アスカもその期待に応えるように、昨日の
晩から仕込み、今日も朝早くから調理と、かなり気合いが入っていた。その弁当も
今はアスカの手にしっかり握られ、今日の出番を待ち構えている。
 シンジは電車に揺られている間、その事を思い出していた。すると、表情から先
程浮かべた苦笑は薄れていき、いつのまにか笑みさえ浮かべて、アスカの事を優し
く見守っていた。


 ゴトン、ゴトン‥、ゴトン、ゴトン‥‥

 快晴の秋空の中、二人を乗せた電車が山々の間を登っていく。


 「う〜んっ!」

 アスカがいかにも心地良さそうに伸びをする。

 「やっと着いたわねぇ。ここまで遠いと、さすがに山に来たって感じがするわ!」
 「アスカはずっと寝てたじゃないか‥‥」

 シンジが控えめに主張する。

 「ん? なにか言った?」
 「べ、べつに」

 そんないつものやり取りをしながら、二人は森林公園へと向かって歩いて行った。


 森林公園の中は、さすがに肌寒かった。木々の枝が空を覆って、太陽光が遮られ
ているせいだろう。周りの人たちの中にも寒さに震えてる人がいる。
 しかし公園内に一歩入ると、周りには寒さを忘れてしまいそうなくらいの魅力的
な風景が広がっていた。
 公園の木々はすっかり紅葉しており、中にはほとんど葉が落ちてしまっている木
さえあった。やはり、その落葉の舞い散る姿には、どこか切なさが感じられた。が、
同時に、降りてきた葉が地面を覆い尽くして絨毯を敷いている姿には、どこか暖か
さが感じられた。

 「初めて見るけど、紅葉って綺麗ねぇ‥」

 アスカは手を後ろに組んで、周りの木々を眺めながらシンジに話し掛ける。

 「うん、ほんとに‥」

 二人とも初めて見る紅葉に見入っていた。

 「やっぱり来て良かったでしょ?」
 「うん、紅葉がこんなに綺麗だったなんて‥」
 「‥‥‥」
 「ほんと、こんなに綺麗なものだったとは思わなかったよ」
 「‥実を言うとね、わたしも」
 「えっ?」
 「‥‥‥」
 「紅葉を‥、見に来たんじゃなかったの?‥」
 「ま、それもあった事は確かね。ただ‥」
 「‥‥‥」
 「紅葉ってさ、所詮、春や夏の葉に比べると衰えた姿よね。もう朽ち果てていく
  姿じゃない?」
 「ま、まぁね‥」
 「そういうのってわたし嫌いだから、紅葉なんて実際に見ても、別に綺麗なんて
  感じないと思ってた」
 「‥‥‥」
 「でも、今実際に見てみて、うーん、なんて言うのかな、何かそれだけじゃない
  ような気がしたの。朽ち果てていく最後の姿なんだけど、最後じゃないような、
  これからを感じさせるような、そんな感じがしたの」
 「アスカ‥‥」
 「何でだろうね?」

 アスカはシンジにちょっと寂しそうな笑みを向ける。
 シンジはその寂しそうな笑みを見ると、不思議と言葉が出てきた。

 「この落ちた葉っていうのはさ、来年また葉をつけるための貴重な養分になるん
  だよね。つまり、将来に向けてちょっと休息した姿みたいなものじゃないかな。
  だから、最後の姿ってわけではないんじゃないかな」
 「うん‥」
 「今はたしかにこういう姿かもしれないけど、半年後には青々とした若葉になっ
  てるんだと思うよ」

 シンジは前を真っ直ぐ見詰めたまま語った。
 そんな普段は見れないシンジの姿に、アスカは軽い驚きを覚えつつも、感謝せず
にはいられなかった。
 (ありがとう、シンジ‥‥)
 アスカは木々に囲まれてほとんど見えない空に視線を向けると、落ちて来る葉を
見詰めながら心の中でつぶやいた。


 「でも、シンジって意外と詩人よねぇ」

 アスカは「クスッ」と微笑む。

 「アスカだって。最初はアスカからだったろ?」
 「そうだったかしら?」
 「ちぇっ」
 「ふふっ」
 「ははっ」
 「ふふふっ!」
 「ははははっ!」

 自然と二人の間には笑顔が戻ってきていた。

 そのあとは、二人で紅葉を眺めながらゆっくりと公園内を歩いてまわった。
 知らない木の名前をパンフレットを見て調べたり、落ちている木の実を拾ったり、
かわいい小鳥の鳴き声に聞き入ったり、落ちてゆく葉を眺めたり、ゆっくりと歩き、
時間を過ごした。


 すると、途中にちょっと開けた所があり、食事が出来るようになっていた。実際、
何組かの家族連れやカップルが弁当を食べている。

 「ねぇ、アスカ。もうお昼だし、お弁当を食べない?」
 「そうね」

 アスカとシンジは空いているベンチに腰掛けた。
 アスカは自分の作ってきた弁当を広げ、おしぼりと一緒にシンジに差し出す。

 「さぁ、わたしの作った弁当よ。感謝しながら、よく味わって食べなさい!」
 「はいはい」

 シンジは苦笑しながら応える。

 「へぇ、サンドイッチなんだ」

 弁当の中はサンドイッチがメインで、後はフライドポテトやポテトサラダなどが
その周りに添えてあり、いかにもアスカらしいおいしそうな洋風の弁当だった。

 「それじゃ、いただきます!」

 シンジはサンドイッチを一つ掴むと、口へ運ぶ。
 その間、アスカはというと、弁当に手をつける事もなく、ただ、シンジの方をじ
っと見詰めていた。
 その様子に疑問を感じ、シンジはアスカに話し掛けた。

 「アスカ、どうしたの? お弁当、食べないの?」
 「え? ええ、もちろん食べるわよ‥」

 アスカはうつむき、弁当をじっと見詰める。

 「ねぇ、シンジ?」
 「なに?」

 シンジはサンドイッチを食べながらアスカの方を振り向く。

 「その‥、わたしの作ったお弁当‥‥。おいしい?」

 アスカは依然として弁当の方を見詰めながら、いかにも自信なげに訊ねてきた。

 「このお弁当?」
 「うん‥」
 「とてもおいしいよ」

 シンジは笑顔を浮かべ、アスカに応える。

 「ほ、ほんと!?」

 アスカの顔が、ぱぁっと明るくなる。

 「うん、本当においしいよ」
 「そ、そう‥」

 アスカは心底嬉しそうな顔をしながら、やっと自分も弁当に手を付け始めた。


 「ごちそうさま」
 「ま、わたしのお弁当を食べられたのだから、感謝するのね」
 「うん、本当においしかったよ」
 「あ、当ったり前じゃない!」

 アスカは顔が赤くなるのを意識しながら、慌てて弁当を片付ける。

 「また作って欲しいな‥‥」

 シンジが誰に言うともなく、つぶやく。

 (えっ!?)
 アスカは、シンジの思わぬ発言に驚き、シンジの方をまじまじと見詰める。そし
て、シンジの次の言葉に期待する。
 (シンジ‥‥)

 しかし、シンジの言葉は特に関係のない、平凡なものだった。

 「さあ、アスカ、行こうか?」


 弁当を食べ終わった二人は、また公園内を探索していた。
 この公園は、歩いてまわると思いの他広いらしく、1日では敷地内全体はまわれ
そうに無かった。
 そのように広い公園なので、ちょっと歩くと人の姿も無くなり、二人だけになれ
た。聞こえる音も、小鳥のさえずりと二人の落ち葉を踏みしめる音だけだった。

 「静かねぇ‥」
 「うん‥」
 「‥‥‥」
 「‥‥‥」
 「ねぇ、シンジ?」
 「なに?」
 「もしね? もしよ?」
 「うん」
 「もしわたしが‥‥」

 そこでアスカはシンジの方をちらっと見た。すると、シンジはアスカの方をただ
じっと見詰めていた。
 そのシンジの真剣な眼差しに、アスカは次の言葉がなかなか言い出せない。

 「‥‥‥」

 アスカは言葉を見つける事が出来ず、ぼーっと前を見詰めたまま歩みを進めた。

 「‥‥‥」
 「どうしたの? アスカ?」

 シンジは、そんなアスカが気になって声をかける。

 「う、うん、なんでもないわ。なんでもない」
 「そう‥‥」

 シンジにもそれが嘘だという事は分かったが、掛ける言葉が見当たらず、何も言えなかった。

 すると、不意にアスカが先の方を指さし、元気に話し掛けてきた。

 「ねぇ、シンジ! あっちに行ってみましょうよ!」
 「え!?」
 「もう、あっちよ! あっち!」
 「で、でも、道が細くなってて危ないよ!」
 「大丈夫、大丈夫! ほら行くわよ!」

 アスカはそう言うと、脇道の方へ駆け出していった。

 「ア、アスカ!」

 シンジは慌ててアスカを追いかける。
 足の速さではアスカの方が速いのだが、今は少し控えめに走っており、シンジと
アスカの間の距離が広がる事はなかった。しかし、それでも、二人の距離が縮まる
事は無く、しばらく鬼ごっこが続いた。

 しかし、その鬼ごっこも突然終わった。アスカが木の根に足を取られたのだ。ア
スカは根に足を取られ、途中で躓いてしまった。

 「痛っ!」
 「アスカっ!!」

 シンジはアスカの元に駆け寄ると、横で屈み、心配そうにアスカを見る。

 「アスカ、大丈夫!?」
 「うん、なんとか‥」
 「どこか痛めてない? 足を挫いたとか?」

 シンジの言葉に、アスカは足の方を触ってみる。

 「大丈夫みたい‥」
 「そう、良かった‥‥」

 シンジは安心した表情を浮かべる。

 「もう、あまり無茶したら駄目じゃないか‥」
 「ごめん‥‥」

 アスカは素直に謝り、うつむいた。自分の勝手な行動でシンジを心配させたこと
に対して、後悔の念でいっぱいになる。
 (また心配させてる‥‥)

 そんなアスカに戸惑い、慌ててフォローするシンジ。

 「い、いや、分かってくれればいいんだよ、アスカ」
 「‥‥‥」
 「ね、無事だったんならそれで良いんだから‥」
 「‥‥‥」
 「ほら、こんなにきれいな公園だし、アスカがはしゃぐのも無理ないよね」
 「‥‥‥」
 「それに、そっちの方がアスカらしいというか‥‥」
 「‥こらっ、それはどういう意味!?」
 「えっ!?」

 突然復活したアスカの言葉にまたも戸惑うシンジ。

 「いや‥、あの‥、その‥」
 「えいっ!」

 そんなシンジにアスカは側の落葉を掴むと、投げつけた。

 「うわっ! なにするんだよ、アスカ!」
 「ははは!」

 アスカは何も無かったかのように、元気に駆け出していく。

 「ほら、もう危ないって言ってるだろ!」
 「そう思うなら、早く来なさいよぉ〜!」

 アスカは笑いながら公園の小道を駆け抜けていく。
 シンジも慌ててそれを追いかける。

 「ほら、ほら! 早く、早くぅ!!」
 「もう、待てってば!」

 そんな鬼ごっこをまたしていると、突然二人を強い風が舞う。
 周りの落葉がその風に煽られ、あたり一帯を覆う。

 「うわっ!」

 シンジは突然の風に驚き、思わず怯む。風はかなり強く、辺り一帯の落葉が舞い
上がって、シンジに襲い掛かってきた。
 それでも、アスカの事が気になり、必死に腕で落葉を避け、目を細めながらアス
カの方を見た。すると、そのアスカは襲い掛かる落葉を避けようともせず、舞い上
がる落葉の中で平然と立っていた。
 (アスカ!?‥‥)
 シンジは声をかけようとしたが、声が出なかった。アスカの姿を覆う赤く色付い
た落葉とその中心にいるアスカの姿に目を奪われた。
 (アスカ‥‥‥)
 アスカの髪の毛の赤。紅葉した落葉の赤・黄・橙。この両者が重なり合い、不思
議な、幻想的な光景を映し出していた。髪と落葉が舞い、アスカの姿を覆い隠す。
 そんな光景は、まさに1枚の絵画だった。落葉が舞い散る中、一人寂しく立ち尽
くす森の妖精、そのような感じだった。いや、森の妖精だってここまで美しくはな
いかもしれない。妖精を見た事があるわけでもないのに、シンジにはそう思えた。
それほど美しい光景だった。

 そのようにシンジが見惚れていると、一瞬、風が強まる。

 その風が更に落葉を舞わせ、アスカの姿を完全に覆い隠す。
 周りを覆い尽くす落葉のために、アスカの姿がシンジの視界の中から消えてしま
う。そう、まるで森の妖精が本来の世界へ帰っていくかのように。
 (‥‥アスカ!?‥)
 シンジは不安に震えた。本当にこのままアスカが目の前からいなくなってしまい
そうだったから。自分を置いて何処か別の世界に行ってしまいそうだったから。そ
こに今まで漠然と感じていた不安、いつの日かアスカは自分の元を去ってしまうの
ではないかという不安が重なる。

 (アスカ‥)
 「アスカっ!!」

 シンジは慌ててアスカがいた所に駆け寄る。

 「アスカ! アスカ!!」

 アスカの姿は難なく見つけられた。シンジはそのアスカの姿を二度と見失うまい
と、急いでアスカの側に駆け寄る。アスカの方はシンジの様子にきょとんとしてい
た。

 「どうしたの?」

 シンジはそんなアスカの様子にほっとして、思わず抱きしめる。もう決して離さ
ないと言わんばかりに、強く強く抱きしめる。

 「ちょ、ちょっと!シンジっ!! なにするのよ!!」

 アスカはシンジの突然の行動に戸惑う。

 (アスカ!、アスカ!‥‥)

 シンジは抱きしめる力をより一層強くする。
 アスカも懸命に抗おうとするのだが、シンジの力が思いのほか強く、引き離せな
かった。また、アスカ自身の抗おうとする力もあまり入らなかった。逆にだんだん
と力が抜けていき、いつのまにかシンジに身を任せていた。

 「ね、ねぇ、シンジ? どうしたの?」

 しばらく身を任せていたアスカも、いつもと違うシンジの様子が気になって優し
く問い掛ける。

 「シンジ?‥」
 「‥‥アスカ」

 シンジはアスカを抱きしめたまま、アスカに尋ねる。

 「なに?」
 「アスカはどこにも行かないよね? 急にどっかに消えたりしないよね? ぼく
  の側からいなくなったりしないよね?」
 「えっ!?‥」

 シンジの急な質問にアスカは戸惑う。

 「ね? アスカ? そうだよね?」
 「シンジ‥」
 「‥‥‥」
 「もう、馬鹿ねぇ。わたしはどこにも行かないわよ‥」

 アスカは優しく諭すように言う。

 「アスカ‥‥」
 「安心しなさい。突然どこかに行ったりはしないから‥」
 「うん‥‥」
 「ほら、もう分かったのならいいでしょ?」

 シンジは自分がアスカを抱きしめたいたことに気付き、顔を真っ赤にして、慌て
て離れる。

 「ご、ごめん!!」
 「べつにいいわよ‥‥」
 「えっ?」

 アスカはつい呟いてしまったことをごまかそうと、別の事を話し出す。

 「と、ところで、どうして急にあんなこと聞いたわけ?」
 「えっ!? うん‥‥」
 「ちょっと普通じゃなかったわよ‥」
 「うん‥、風のせいでアスカの姿を見失って‥、それで‥‥」
 「それで不安になった、なんて言わないでしょうね!?」
 「だ、だって! そのままアスカがいなくなってしまうような気がしたから‥‥」
 「はぁ‥、アンタばかぁ? そんな事あるわけないでしょ‥」
 「そ、そうだね。ははっ‥」

 シンジは顔を赤くして、照れ笑いを浮かべる。

 「ほんとに馬鹿ねぇ」
 「うん‥‥」

 「はい、それじゃもう行くわよ。あんまり長居は出来ないだから、もう少し見と
  かないともったいないじゃない」
 「う、うん‥」
 「分かってんなら、さっさと行くわよ!」

 アスカはそう言うと、シンジの腕を取り、組んで歩き出す。

 「ア、アスカ!!」
 「何よぉ?」
 「う、うで‥‥」
 「腕がどうしたの?」
 「そ、その‥、は、恥ずかしいよ‥」
 「アンタばかぁ? あんたがわたしにいつも側にいてくれって言うから、こうし
  て側にいてやってんじゃない! まったく、失礼しちゃうわね」

 そう言うアスカも頬のあたりがうっすらと赤く、照れているのが分かる。

 (そこまで言ったかな?‥)

 シンジは疑問に思いつつも、何も言わないでそのまま歩き出した。
 しかしその疑問も、照れながらも嬉しそうなアスカの笑顔を見ると、どうでもい
い事のように思えて、シンジにも自然と笑顔がこぼれた。


 二人はしばらくそんな感じで森林公園内を歩いてまわった。素晴らしい周りの風
景も二人寄り添って見ると、不思議とより一層綺麗に見えた。側に落ちている落葉
一枚にしても、遠くで聞こえる小鳥の声にしても違うような気がした。

 (どうしてだろう?‥)
 (どうしてかしらね?‥)

 二人、疑問に思いつつ、周りに見入っていた。


 「アスカ、そろそろ時間みたいだから‥‥」
 「うん‥‥」

 やがて時間の到来とともに、二人の休日の出来事は終わった。



 翌日、シンジが洗濯をしていると、アスカのブラウスから落葉が出てきた。
 (あっ、これ昨日の‥‥)

 「アスカぁ!」

 リビングに戻ると、アスカに声をかける。

 「なに?」
 「ほら、アスカ見て」
 「なによ‥」

 シンジはアスカに先ほど出てきた落葉を見せる。

 「アスカのシャツから出てきたんだ。たぶん昨日公園で風が吹いた時にでも入っ
  たんだよ」
 「ふ〜ん」
 「はい、アスカ」

 シンジはその落葉をアスカに渡す。

 「な、なによ?」
 「この落葉はアスカのだから」
 「落葉なんてどうしろって言うのよ」

 アスカは興味なさそうに応える。

 「こんなに奇麗なんだからさ、しおりにでもしてみたらどうかな? 記念にもな
  るし」
 「記念って、ただ公園に行っただけじゃない」
 「それはそうだけど‥」
 「まあいいわ。預かっとくわ。わたしのシャツから出てきたのなら、わたしのだ
  ろうしね」

 アスカはシンジからその赤い落葉を受け取る。

 「うん」

 シンジはアスカにその落葉を渡すと、また中断していた仕事を再開する。

 (記念ねぇ‥‥)
 「ま、悪くないかもね‥」

 シンジが行ったのを確認すると、アスカはその落葉を眺めながらつぶやく。
 心の中ではすでに今日の日記に書くことが決まっていた。


 『あいつからプレゼント。と言っても大した物じゃないの。この前行った山での
  落葉。どうやら、私のシャツに紛れ込んでいたみたい。あいつったらこれをせ
  っかくの記念だから、日記のしおりにしてみたら?だって。ま、いいアイディ
  アではあるわね。でも、どうして私が日記つけてることを知ってるのかしら?
  今度確かめる必要があるみたいね。せっかくだからこの日記のしおりを今日か
  ら変えるわ。私たちの記念の品にね。二人の“デートの記念”としては、ちょ
  っと物足りないような気もするんだけど!』
                           Asuka

最後にコメントなどを

 みなさん始めまして、この短編を書きました ひろ といいます。
 まずは、高嶋さん、第百話おめでとうございます!!
 う〜ん、すごいですね〜。ほんと。このペースはもちろんですが、そのペースに
内容がついていってる所がすごい! なかなか出来る事じゃないですよ。
 その高嶋さんの「かくしエヴァ」では、アスカがかわいいですよね〜。感想を書
く時、暴走する自分を抑えるのが大変です。
 と、その話を始めたら、この短編より長くなってしまうので(笑)、また別の機会
にでも。

 今回の短編についてですが、お気づきの方もおられるかもしれませんが、私の別
の投稿小説に内容がリンクしております。最初そのつもりはなかったのですが、書
いていく内にだんだん・・、となってしまいました。きちんと考えた後で書き始め
ないといけないですね〜。
 おかげで最初の構想とは別の内容になってしまいましたが、いかがだったでしょ
うか?
 出来れば、感想メールなど頂ければ幸いです。エヴァの世界に秋なんてあるのか?
とか、落葉が養分になるってか本当か?とかいう、ツッコミでも構いません(笑)。
よろしくお願いいたします。

 では、最後に、高嶋さん第百話おめでとうございます! 今後も是非とも頑張っ
てくださいね!! 今回の企画どうも有り難うございました。

PS 高嶋さん、「アスカの日記」お借りしましたよ〜

記念コメント(アスカとシンジ編)

アスカ:ひろって、いいやつよね・・・・ シンジ:うん、そうだね、アスカ。こんなページに投稿してくれるんだもん。 アスカ:それもあるんだけどさあ・・・・ シンジ:何、アスカ? アスカ:このお話・・・・ シンジ:何? アスカ:いいわよね、ほんとに・・・・ シンジ:そ、そうだね。でも、アスカがこんなに誉めるなんて珍しいね。 アスカ:そ、そう? シンジ:そう思うけど・・・ アスカ:じゃあ、それだけひろは特別なのよ。 シンジ:そ、そう・・・・ アスカ:・・・どうしてだか、シンジは聞かないの・・・・? シンジ:え、じゃ、じゃあ、どうして? アスカ:聞きたい? シンジ:う、うん。聞きたい。 アスカ:・・・教えてあげない。 シンジ:な、なんなんだよう、それは!? アスカ:アタシにキスしてくれたら、教えてあげる。 シンジ:な、何言ってるんだよ、みんな見てるだろ!? アスカ:じゃあ、こっちのみんなの見てないところで・・・・ シンジ:う、うわっ!!ひっぱるなよっ!!
記念投稿第二弾は、みなさんおなじみ、ひろさんです。 ひろさん、どうもありがとう!!わーい、ぱちぱちぱち・・・・ 皆さんご存知の方がほとんどかと思いますが、ひろさんはアスカ×シンジの巨 匠でして、これ以外は書かない人です。いやー、私なんかと違って、愛を感じ ますねー。ほんと、文章の中にそれがにじみ出ていると思います。 きれいで、何だか心があたたかくなるような、そんな話でした。 ありがとう、ひろさん。みんなもひろさんを応援しよう!! また、ひろさんは私にもよくメールを送っていただいておりまして、その点で も感謝しております。って、この投稿って、ぽっと出の人はいないんですが、 とにかく熱のこもったメールでして、私はそれだけ感激です。数多いメールの 中でも、ひろさんのが一番の長さじゃないかな? うう・・・とにかくありがとうです。これ以上は何も言えません。うう・・・

ひろさんへのお便りはこちら: MB2H-TMT@asahi-net.or.jp
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