「アスカ一行日記」プロローグ、そして十二月分

プロローグ01
シンジがアタシのところに来て尋ねてきた。「アスカ、今、一番欲しいものって何?」
全く、もうちょっとうまく聞けないもんかしら?これじゃあ、アタシの誕生日プレゼントってわかるに決まってんじゃないの。
アタシはシンジに向かってこう返事する。「自分で考えなさいよ!!」さあて、シンジは一体アタシに何を選んでくれるのかな?楽しみよね。

プロローグ02
次の日、学校から帰るとシンジはアタシに隠れてこそこそと家を出て行った。
でも、アタシはシンジに気付いてたけど、黙って何も言わなかった。
きっとこれからアタシの誕生日プレゼントを買いに行ってくれるのよね。アタシはそう思いながら、12月4日を待ち望んでいた。

12月4日
今日はアタシの誕生日。みんながうちに集まって、パーティーを開いてくれた。アタシはみんなからのプレゼントを受け取る。そしてシンジは・・・・
「アスカ、僕からはこれを・・・・」シンジがそう言いながらアタシにプレゼントしてくれたのは、一冊の日記帳だった。
何だかシンジらしいな。アタシは何だかうれしくなって、これから毎日、日記をつけることにした。毎日少しずつ、シンジへの想いを込めて・・・・

12月5日
昨日はみんなで楽しく騒いだ一日だった。そして今日、アタシは二度目の日記を書いている。
そう言えば、そろそろクリスマスよね。このお返しに、シンジに何かあげよっかな?
シンジにもアタシとおそろいの日記帳を買って、交換日記にするの。いい考えだと思うんだけど、やっぱり駄目かな?もう少しゆっくり考えることにしよーっと!!

12月6日
今日は特別なことは何もなかった日。でも、アタシはいつも満足してる。
シンジの作ったご飯を食べ、シンジと楽しく話をし、そしてシンジの顔が見れる。
アタシはそれだけで幸せ。明日も明後日も、そしてこれからもずーっと、こういう日が続くといいなー。

12月7日
今日は土曜日。学校はあったんだけど、明日はいよいよ休みね。
シンジはいつも疲れた疲れたとか言って、うちでごろごろしてるけど、いつもそればっかりじゃあちょっとね。
アタシもどこか遊びに行きたいし、シンジを引っ張ってどこか行こうかな?でもほんとを言うと、シンジと一緒にいられれば、家の中だって構わないんだけどね。

12月8日
今日は日曜日。シンジは休みのせいか、早起きもせずにゆっくり眠りほうけていた。
アタシはシンジよりも早く目が覚めちゃったから、ちょっといたずら心を出して、シンジの部屋に忍び込んだの。
「シンジ、起きなさい!!いつまで寝てんの!!」アタシの声にシンジはびっくり!!あたふたしちゃって・・・もう、かわいいんだから、シンジは!!

12月9日
今日は月曜日。一日学校に行かないと、何だかそれだけで久しぶり!!っていう気がするわね。
でも、みんなはそうは思ってないみたい。月曜って嫌いだって言ってるし、どうしてなのかしらね?
もしかして、アタシは家にいる時よりも、学校の時のほうがシンジに接していられる時間が多いから?うーん、そうなのかもしれないわね・・・・

12月10日
もうすぐ冬休み。でも、その前に期末テストがあるの。そんな訳で、今日アタシ達は放課後みんなで集まって、勉強をすることにした。
でも、みんなで集まると勉強どころじゃないのよね。ま、アタシは成績がいいからいいんだけど・・・
それよりもファーストよね。シンジにぴったりくっついて、潤んだ目でじっと見つめちゃてさ!!ほんと、シンジはアタシのものなんだからね!!

12月11日
今日、テレビで雪を見た。ドイツでは雪も降ったんだけど、日本ではもう無理みたい。ちょっと残念よね。
そもそもクリスマスに暑いなんていうのが邪道なのよ。アタシはつくづくそう思うわね。
雪降る夜に、シンジと二人っきりで・・・・ロマンチックよね。ああ、つまんないなあ、雪が降らないなんて!!

12月12日
今日もいつもと変わらず。日記もこうして毎日書くって言うのも意外と大変なもんなのね。
ほんとに冗談抜きで、シンジとの交換日記にしちゃおうかしら?そうすればいくらだって書けると思うんだけど。
でも、文章にしちゃうと恥ずかしいかな?シンジがアタシの本当の気持ちを知ったら、きっとびっくりすると思うし。まさかこんなにアタシがシンジに夢中だったなんてってね!!

12月13日
今日は金曜日。明日の土曜日も学校はあるけど、アタシにはもう学校も家もあんまり変わらないみたい。
家族家族ってシンジは言うけど、ミサトもシンジも、やっぱりアタシにとって完全なる家族にはなれないもんね。
アタシの目では、ミサトはぐうたらすぎてとてもじゃないけど保護者っていう風には見れないし、そしてシンジは・・・・家族の関係じゃ、イヤ・・・・

12月19日
ここのところシンジと夜遅くまでテスト勉強をしてたから、しばらく日記をお休みしちゃったわね。
アタシは毎日書きたかったんだけど、さすがにシンジの前じゃ恥ずかしくってね・・・・
それにシンジったら、日記見せて、何て言うのよ。冗談じゃなく、見せてやろうかしら?そうすればあの鈍感も、少しは何かを感じるだろうからね。

12月20日
今日は金曜日。もう、学校は半日なんだけど、明日もやっぱり学校がある。
で、半日って言うことで、お昼はシンジの手作りのご飯だったの。シンジの作るお弁当もおいしいんだけど、やっぱりあったかい方が余計おいしいわよね。
だもんだから、ついお昼からおかわりしちゃった。シンジはあきれて見てたけど、だってほんとにおいしかったんだもん!!我慢なんて出来ないわよね!!

12月23日
明日はクリスマスイブ。でも、まだアタシはシンジにあげるプレゼントを買ってない。
シンジもまだアタシのプレゼントを買ってないみたいだけど、ちゃんと考えてくれてるのかな?
で、アタシはって言うと、何にしたらいいのか悩んでる。シンジが好きなものがいいんだけど、アタシのだっていう印象も結び付けたいし、ほんと、困ってるの。何がいいんだろうなあ・・・?

12月24日
今日はクリスマスイブ。ヒカリの家に集まって、みんなでパーティーをしたの。アタシもシンジも今日はおめかし。アタシは特に、とっておきのルージュを唇に塗った。でも、シンジは全然気付かなかったみたい。鈍感なんだから!!
パーティーはたけなわ。ヒカリお手製のケーキとごちそうを前にして、みんなは盛り上がった。そして、いよいよプレゼント交換・・・・それぞれみんな、思い思いのプレゼントだったけど、シンジは料理をはじめたアタシにって、エプロンをくれた。そしてアタシがシンジに選んだのもエプロン。みんなに冷やかされちゃったけど、アタシはなんだかうれしかったな。
パーティーが終わり、夜道をシンジと並んで歩く。乾杯の時にシャンパンを飲んだせいか、二人とも頬が赤い。でも、本当にそれだけ?アタシはシンジに、シンジにだけのプレゼントをあげた。誰も見ていないところで・・・・それはアタシのキス。だけど、今日は聖なる夜だから、おでこに軽くだったけどね。シンジは意外なところへのキスに、ちょっとびっくりしてた。でも、ルージュのあとは気付かなかったみたい。残念だったけど、シンジがそれをして家まで帰ったから、別にいいかな?だって、シンジがアタシのものだって、証明してるみたいだもん。・・・とにかく今日は素敵な夜だった。まさに、聖夜って呼ぶに、ふさわしい夜だったわよね。

12月25日
クリスマスのパーティーも終わり、あとはお正月を迎えるばかり。学校は休みだし、大掃除も今日じゃないから、なんだか暇な一日だったわ。
こういう日はなんだか物憂くて、一日中頭がぼーっとしてた。シンジも今朝はお昼近くになるまで起きてこなかったし、起きて来ても何にもする気力がわいてこなかったみたい。
だからアタシは、昨日シンジにエプロンをもらったこともあって、お昼ご飯を作ってあげたの。シンジはびっくりしてたっけ。でも、一言アタシに言ってくれたの。「そのエプロン似合うよ・・・」って。まるで夢見てるみたい。あのシンジがアタシの格好を見て誉めてくれるなんてね!!

12月26日
今日も昨日とおんなじ。でも、それじゃあ詰まんないからって言うんで、シンジとちょっと散歩に行くことにしたの。
散歩って言っても、その辺をぶらぶらするだけじゃなくって、歩いてちょっと遠出。今日もいつもと変わらず暑苦しいけど、何だかまわりの景色が違って見えた。もしかして、シンジと並んで歩いているから?
二、三時間歩いて、二人ともちょっと疲れたのか、近くの公園のベンチで一休み。缶ジュースを買って来て、二人で一本を分け合ったの。アタシが二本じゃ多いからって言ったからなんだけど、ちょっぴり別の意味もあったかな?ともかく、今日はデートにも似た時間を二人で過ごして、アタシは幸せだった。でも・・・今度はほんとのデートがしたいな・・・・

12月27日
今日から大掃除。と言っても、アタシは掃除なんてほとんどしないから、大体はシンジ任せ。でも、アタシの部屋くらいは、自分で掃除しないとね!!
と言う訳で、アタシは自分の部屋を掃除したらいいんだけど、それほど散らかってもないし、ちょっと机の上を片付けただけで終わりにしちゃったの。きれいに見えればそれで十分のはずよね。
でも、アタシの部屋が終わっても、部屋を出るとシンジに用事を押し付けられるから、ベッドに腰掛けて窓の外を眺めていたの。でも、それもすぐ飽きちゃって、こっそりシンジの部屋に忍び込んだ。そしてシンジのベッドの中にもぐりこんで一眠り。あとでシンジはびっくりしてたっけ。でも、何だか面白かったな。それに、シンジの布団に包まれて、眠ることが出来たし・・・・・

12月28日
今日も昨日の大掃除の続き。シンジは昨日アタシがサボっていたのに怒ってて、ガラス磨きを命じたの。ああ・・・面倒くさいなあ・・・どうしてガラスって汚れるんだろ?ミサトはアタシ達に任せて、どこか行っちゃったし・・・・
でも、ミサトがいないって事は、これはチャンスよね!!アタシはそう思うと、張り切ってガラスを磨いた。早く終わりにして、シンジと二人っきりの時間を出来るだけ長くするように・・・・
そして、アタシが頑張ったおかげで、ガラスは全部ぴかぴか。シンジはそれを見て、アタシを誉めてくれた。アタシも調子に乗って、「御褒美は?」なんて言ってみる。するとシンジは、アタシの肩をもんでくれた。アタシはキスを期待してたんだけど、たまにはこういうのもいいわよね。あんまり肩はこってなかったんだけど、長めにやってもらっちゃった。このことが、今日一番の出来事だったかな。

12月31日
今日は大晦日。一年最後の日。アタシは今、除夜の鐘を聞きながらこれを書いている。それにしても、今年もいろんな事があったわよね。
中でもシンジとはいろいろあった。なんだかんだいいながらも、アタシ達の仲は徐々に進んでいった。そしてアタシは、その事をシンジからもらった日記帳につけ始めた・・・・
来年も、アタシとシンジにとって、いい年でありますように。明日はシンジと初詣に行くから、早起きのために今日はもう眠るわ。今年最後の夜、そして新しい年のはじめの夜も、シンジの夢を見るわね。これだけは、毎日見ても、見飽きたりはしないから・・・・


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